広島高速交通アストラムライン
アストラムラインの概要
起点・本通駅入口
起点・本通駅入口
広島高速交通アストラムラインは、1994年(平成6年)8月20日に開業した第三セクター線です。
路線の正式名称は広島新交通1号線といいますが、一般には愛称のアストラムラインで通っています。
1994年10月に広島で開催された「広島アジア大会」の会場となった広島広域公園に造られた競技場「広島ビッグアーチ」へのアクセス路線として建設されました。現在では、広島市西部の安佐南区に広がる住宅地から市中心部への通勤・通学路線ともなっています。
起点・本通駅 - 城北駅間は地下線であり、このうち本通駅- 県庁前駅間は鉄道事業法に基づく鉄道区間という扱いで、「地下鉄」として補助金を受けて建設されています。
そのため、国土交通省の統計資料でもこの区間は「地下鉄」として扱われています。なお、このアストラムラインの特徴としてたいへん珍しい側方案内軌条式鉄道となっていて、地下鉄でこの方式を採用している地下鉄は日本でここだけである。
県庁前駅 - 広域公園前駅間は軌道法に基づく軌道区間となっているが、実際の運行には違いはない。また中国地方で初めて自動改札機が導入された路線でもあり、当時は脚光を浴びています。まあ、今では珍しくはないですが。
もともと広島市内中心部の本通駅から全線のほぼ中間にある長楽寺駅までは、同市郊外の住宅地と市内中心部を結ぶ軌道路線として1994年のアジア競技大会の誘致構想以前から計画されていた区間でした。長楽寺駅から広域公園前駅までは「広島アジア大会」の競技場広島ビッグアーチへのアクセス路線として路線が延長されました。
現在、城北駅 - 白島駅間にJR山陽本線との乗り換え駅として白島新駅(仮称)を地下に設置し、同駅とJR白島新駅(仮称)を連絡通路で接続するという計画があります。
特記事項としてはこの路線を建設中に大事故が発生しています。1991年3月14日14時頃、広島市安佐南区上安5丁目の上安駅付近で前日に仮設置していた長さ65m・重さ43tの鋼鉄製の橋桁が落下して並行する県道38号線を走行(信号待ちで停車)していた自動車数台を直撃し、運転手や作業員ら15人が死亡・8人が負傷するという事故が起きています。これは、施工業者の杜撰な作業や工事中なのに道路の交通規制が行われていなかったことが大惨事を引き起こしたといえましょう。

路線データ
広島高速交通アストラムライン
路線距離
鉄道線 本通-県庁前 0.3km
軌道線 県庁前 -広域公園前 18.1km
合計 18.4km
案内軌条  側方案内軌条式
駅数  21駅(起終点駅含む)
複線区間  全線
電化区間  全線(直流750V)
閉塞方式  車内信号式
最高速度  60km/h
開業年月日  1994年8月20日
使用車両  6000系 1000系
種別  普通列車のみ
城北駅入口
城北駅入口

アストラムライン 駅一覧
駅名 駅間キロ 営業キロ 接続路線 所在地 区分
本通駅 - 0.0 広島電鉄:宇品線 中区 鉄道線
県庁前駅 0.3 0.3
軌道線
城北駅 1.1 1.4
白島駅 0.7 2.1
牛田駅 0.8 2.9 東区
不動院前駅 1.1 4.0
祇園新橋北駅 1.0 5.0 安佐南区
西原駅 1.0 6.0
中筋駅 1.0 7.0
古市駅 0.8 7.8
大町駅 0.6 8.4 西日本旅客鉄道:可部線
毘沙門台駅 1.2 9.6
安東駅 1.0 10.6
上安駅 0.8 11.4
高取駅 0.6 12.0
長楽寺駅 0.7 12.7
伴駅 1.2 13.9
大原駅 1.0 14.9
伴中央駅 1.1 16.0
大塚駅 1.6 17.6
広域公園前駅 0.8 18.4

広島高速交通 現役車両
アストラムライン6000系 アストラムライン1000系
アストラムライン6000系 アストラムライン1000系

体験乗車レポート
本通駅改札口
本通駅改札口
さて、実際にアストラムラインに乗車してみましょう。広島電鉄広島駅から宇品線本通駅まで市電に乗り、ここでアストラムラインに乗り換えです。
アストラムラインは、本通駅から城北駅までは地下線となっていてホームも地下にあります。
料金は、本通駅から城北駅まで180円となっています。
この路線の駅の改札は、自動改札となっていますが、この路線が開通した頃は、中国地方ではこの路線だけが自動改札だったので、けっこう脚光を浴びたりしています。
さて、切符を買い自動改札をくぐり、ホームにエスカレーターで降りますと、ホームには乗降口だけが開くような仕組みになっています。これはホームに転落しないように安全のための措置でしょうが、いつもこの手のホームを見るとどこぞの列車みたいにオーバーランしたら困るのではと思います。
さて、すぐに電車が到着します。ダイヤは、10分間隔となっていて、頻繁に電車が到着するのでたいした待ち時間はないようです。電車は、ロングシートで、乗車率もそこそこのようですが、満員電車というほどではなく、座席に座れます。
この本通駅から次の県庁前駅までは、300mしか駅間距離がないので電車はすぐに停車します。実は、ここまでが鉄道線(地下鉄)の扱いとなり、県庁前駅から城北駅までは、地下線なのですが、軌道線の扱いで鉄道線ではないとのこと。しかし、実際には地下線ですし、地下鉄として扱われない理由がよくわかりません。電車はすぐに発車します。このアストラムラインは、側方案内軌条式鉄道と呼ばれる形式で普通の鉄道とは違い、専用軌道をゴムタイヤを使って走行します。架線はなく、路線の側方の案内軌条に併設された給電線より給電し、モーターで走行します。
城北駅ホームの乗降口
城北駅ホームの乗降口
ですから電車には違いないのですが、架線がないため沿線の美観を損なわない点と、ゴムタイヤを使用するため沿線への騒音や振動も少ないというメリットがあります。レールも鉄レールを使わないので、高架線や橋梁を建設する場合も軽量化が可能で、総合的なコストも小さくてすむというメリットがあります。
などと、能書きを言っている間に電車は、城北駅に到着します。今回は、この近くで仕事があるので、ここで降ります。ホームからエスカレーターで昇ると改札口は地上にあり、駅前に出ます。とりあえず今回の旅は、あっという間に終わりましたが、いくつか気づいたこともあります。実は、この後も何回か電車に乗ってみたのでそれも合わせて考えてみましょう。
まず、広島電鉄の市電に比べると乗車率がイマイチという印象を受けました。広島電鉄の市電も何本か乗ってみましたが、いずれもかなりの乗車率で繁盛しているなと思いましたが、アストラムラインは、それに比べると閑散としているとまでは言えませんが、けっこう車内のスペースが空いているのですね。
なぜなのかと言うことですが、まず考えられるのは運賃の問題でしょう。アストラムラインは初乗り料金が180円なのに対して、広島電鉄は一律150円です。まあ、郊外に向かう路線ですのであまり多くを期待してはいけないとも言えますが、私が乗った地下鉄部分はもう少し混雑していても良いように思いました。
このアストラムラインのような新交通システムは全国で現在12路線が営業していますが、いずれも営業的にはけっこう苦戦していると見受けられます。いわゆる路面電車も市内交通を担う交通機関ですが、広島電鉄はやはり黒字です。(19年度の営業係数は87.4) 
それとゴムタイヤを使っているので本来は乗り心地が良いと思われるのに、けっこう車輌が揺れたりして、必ずしも良いとは言えないのです。横揺れの方が気になるので、むしろコンクリート走行面の劣化が問題なのかも知れません。
この点では鉄レールとは違い劣化したから交換しようと言うわけにはいかないので、保守が難しいといえます。
しかし、実際に乗ってみても便利な交通機関であることは間違いないので、今後の健闘を祈りたいところです。
実はアストラムラインの延伸計画もあるのですが、実際の実現はなかなか難しく目処が立っていないようです。
ううむ、富山市に住んでいるから言うわけではないのですが、ここに住んでいると次々に新線開通や新型車両が投入されるなど、いろいろと楽しみが多いので、いつまでも計画が進まないのはじれったくなります。
 スライドショー
アストラムライン
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アストラムライン 路線マップ
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