北海道のダム

  二風谷ダム(にぶたにだむ)
形式 重力式コンクリートダム
用途 洪水調節・河川維持用水・灌漑用水
上水道用水・工業用水・発電
所在地名 北海道沙流郡平取町字二風谷
位置 北緯42度37分43秒 東経142度8分57秒
河川名 沙流川水系沙流川
ダム湖名 二風谷湖 (にぶたにこ)
着手/竣工 1973/1997
管理 北海道開発局・建設部
堤高 堤頂長 堤頂幅 堤体積 堤頂標高
32m 550.0 m m 276,000 m3 51.1m
流域面積 湛水面積 総貯水容量 有効貯水容量
1,215.0Ku 430ha 31,500,000 m3 26,000,000 m3
二風谷発電所
最大出力 使用水量 落差 形式
3,000kw 35m3/s m ダム式
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二風谷ダムは、北海道開発局・建設部が管理する洪水調節・河川維持用水・灌漑用水・上水道用水・工業用水・発電を目的とする重力式コンクリートダムです。
ダム湖は、二風谷湖と呼ばれています。
併設されている二風谷発電所では、最大出力3,000kwの発電を行っています。
二風谷ダム周辺は、アイヌの聖地として、沙流川の河岸では毎年チプサンケという舟降ろしの儀式が行われていました。
そのためダムが建設されることになると、反対運動が起こり、ついには収用採決取消し訴訟が起こされる事態となっています。しかもその訴訟では、収用裁決が違法であるとの判決がなされて、同時にアイヌ民族の先住性も認められています。
この訴訟の後、北海道旧土人保護法の廃止につながり、アイヌ民族の権利が認められることとなっています。
それにしても北海道旧土人保護法という法律は、はっきり言って詐欺的法律ですよ。こんなものを成立させていたとは・・・。

これだけの犠牲のうえに完成した二風谷ダムは、平成15年台風10号出水の際に治水機能を発揮して洪水軽減に役立っています。このダムがなかったら下流では大被害に至っていたと考えられることから、この地点にダムを築いた判断は間違ってはいなかったと言えるでしょう。
この際に未曾有の洪水のため流入量が6400m3/sにも達したために、奮戦むなしくいわゆる但し書き操作に入るはめになっています。しかし放流量は最大5500m3/sだったことから、よく洪水を堰き止めて善戦したと言えるでしょう。
これは北海道では初めての事で、この際には深夜の避難勧告に住民もパニック状態になっています。
私見ではこれはやはり避難勧告が遅すぎたきらいはあるかもしれません。つまり初めての避難勧告が深夜にあり、危険水位に達したと聞いたらダムが決壊するかもと不安になるのは仕方のない事です。
もう少し早めに避難勧告を出して余裕を持って避難する態勢をとる方がよかったという見方はできるでしょう。
もっともその程度で決壊するようなヤワなダムは日本にはありませんので今後は心配しないようにしましょう。

しかしダムの機能および洪水時のダム操作についてほとんどの人が知らないというのは困ったものです。
もっとこういう知識を一般に広めるべきではないかと思うのですが。