大分県のダム

  下筌ダム(しもうけだむ)
形式 アーチダム
用途 洪水調節・河川維持用水・発電
所在地名 大分県日田市中津江村栃野 [右岸:熊本県]
位置 北緯33度9分35秒 東経130度59分2秒
河川名 筑後川水系津江川
ダム湖名 蜂の巣湖 (はちのすこ)
着手/竣工 1977/1986
管理 九州地方整備局
堤高 堤頂長 堤頂幅 堤体積 堤頂標高
98m 248.2m m 282,000m3 EL.338m
流域面積 湛水面積 総貯水容量 有効貯水容量
185.0Ku 200ha 59,300,000m3 52,300,000m3
下筌発電所
最大出力 使用水量 落差 形式
15,000kw m3/s m  ダム式
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下筌ダムは、九州地方整備局が管理する洪水調節・河川維持用水・発電を目的とするアーチダムです。
1972年に完成していますが、再開発により河川維持用水を確保しました。
この下筌ダムは、あの有名なダム建設史上最大の紛争と言われる「蜂の巣城紛争の舞台となったダムです。
室原知幸氏を中心に13年余りに渡って反対運動が繰り広げられ、その後のダム事業に関して多大の教訓を残すことになりました。ダム湖もそれにちなんで蜂の巣湖と呼ばれています。
昭和35年5月には室原知幸氏が、ダムにおける事業認定無効確認の行政訴訟を起こしていますが、昭和38年9月室原知幸の事業認定無効確認請求事件について、東京地方裁判所の判決は、
 「多目的ダムの建設を目的とした事業認定でありながら基本計画の成案すらなく、土地収用法の事業認定を行った被告の処置は不当の識を免れないが、事業認定の効力が争われている本訴では基本計画の未定からくる本件事業計画中の発電効果の不確定等の不備はあるけれどもそれをもって土地収用法第20条各号の要件の具備を否定させるに至るものとはいい難く、本件事業認定に当然無効又は違法として取り消すほどのかしがあるとは解されない。
なお、原告等の違法として主張する地質上の諸問題、計画高水流量のとり方、ダムサイトの選定その他本件事業計画の技術的欠陥不合理性等についてはその多くは技術的、合理的見地から起業者の自由裁量に親しむ余地が多分に含まれており、当、不当の問題とはなっても裁量権の濫用と認める証拠のない本件では当然無効又は取り消すべきかしがあるものとは認められない。」
と結論づけ、事業認定の無効の訴えを退けています。
昭和45年6月29日に室原知幸氏が71歳で亡くなり、その後建設省と遺族との間に和解が成立し、補償は円満解決がなされています。
室原知幸氏が公権と私権の是非を世に問うた「法に叶い、理に叶い、情に叶う」という民主主義の精神は、その後のダム建設事業に多大な影響を及ぼすこととなりました。
この下筌ダムと下流の松原ダムが建設されたことでこの流域に大規模な水害が発生することはなくなっています。