Q1.ケレスは、どんな天体ですか。
A1.ケレスが発見されたのは1801年のことです。
1801年1月1日にシチリア島にあるパレルモ天文台の台長ジュゼッペ・ピアッツィによって発見されました。
ケレスは、発見当初は惑星であると考えられていましたが、その後近くの軌道に同じような天体が続々と見つかって火星と木星の間に小惑星帯があることが判明したことや、惑星にしては小さすぎる(最小の惑星である水星の約5分の1)ことなどから、1850年頃からは小惑星と見なされ惑星とは区別されるようになりました。
それでもケレスは直径約950kmと小惑星の中では飛び抜けて大きく、その後何千何万という小惑星が発見されてきたにも関わらず、およそ150年の間、ケレスは太陽系最大の小惑星でした。
ところが2000年以降に海王星以遠にエリス(直径2400km±100km)、クワオアー(直径1,250km±50km)などケレスを上回る大きさの太陽系外縁天体が複数発見されたことで、太陽系最大の小惑星という看板を下ろすことになりましたが、それでもその自己重力が球形を保つのに十分であるため、国際天文学連合 (IAU)の2006年総会により、新設された準惑星に分類されることになりました。同時に冥王星とエリスも準惑星に分類されることになりました。ケレスの小惑星番号は最初に発見された小惑星ということで1が割り当てられています。
ケレスの直径は959.2km×932.6kmとほぼ球形です。
またケレスは、小惑星帯のケレス族に分類されます。小惑星帯にある準惑星は今のところこのケレスだけです。
ケレスの軌道は離心率が0.08と円に比較的近い楕円です。
したがって近日点距離は2.546天文単位となり,一方,遠日点距離は2.988天文単位となります。
またケレスの軌道面は軌道傾斜角が10.581°と黄道からはやや外れています。
ケレスの公転周期は4.60年です。
このケレスには衛星が発見されていません。衛星を持つには小さすぎるのでしょう。
 
ケレスの基本データ
軌道長半径
(天文単位)
公転周期
(年)
自転周期 直径
(km)
質量
(kg)
平均密度
(kg/u)
表面重力
(地球=1)
衛星数
 
2.767 4.60 9時間4分 959.2×932.6 9.445×1020 2050 0.0265
Q2.ケレスの地表のようすはどうなっていますか。大気はありますか。
A3.ケレスの表面は太陽に暖められていることから大気があると考えられています。
ケレスは,ほとんど球形で表面の凹凸も少なく岩石の核を持っていると考えられます。
ケレスに大気があるのかどうかは現在のところはっきりしていませんが、表面温度が−40℃以下と思われるので、薄いながらも大気があるのではないかと思われます。ただし、ケレスはサイズが小さく十分な重力がないので、重い元素でないとつなぎとめておけないでありましょう。また表面には霜があると思われます。
ケレスのアルべド(反射能)は0.113とさほど大きくありません。
2001年にはハッブル宇宙望遠鏡で紫外線により画像が撮影され、暗色の円状の地形(クレーターと推測された)に「ピアッツィ」のあだ名が付けられました。
ケレスの表面には衝突クレーターが存在していることは間違いないでしょう。