Q1.土星とはどんな惑星ですか。あの環の正体は何ですか。
A1.太陽系で2番目に大きな惑星である土星は,ほとんどがガスでできている木星型惑星です。
したがって密度はたいヘん小さく、水より軽いのです。
赤道半径にくらベて極半径が6300キロも短いので,平たい形をしているのが写真をみるとよくわかります。
土星の最大の特徴は,あの雄大な環です。
環は望速鏡でながめると1枚の板のようにみえますが,実際は無数の細かい粒子の集まりです。
これらはほとんどが氷でできています。
粒子の大きさはメートルサイズ以下で,小さいものほど多数あります。なかにはマイクロメートルサイズの粒子が大部分を占める環もあります。
環にはところどころにすき間が開いています。
昔からこのことは知られていて,比較的大きなすき間には「カッシーニ間隙」や「エンケ間隙」などといった名前がつけられています。
このようなすき間は,土星の衛星の作用によって生じたものです。
たとえばカッシーニ間隙にある粒子の公転周期は,土星の衛星ミマスの公転周期の2分の1になります。
つまり粒子が2回公転するたびに,必ずミマスから強い引カを受けることになります。
その結果,粒子が「掃除」されて環にすき間ができるのです。
さらにボイジャー採査機の観測により,1枚の板のようにみえた環が,実際には1000以上もの細かいリンダの集まりからなりたっていることがわかりました。
これだけ細かい環をつくるためには,衛星の作用だけでは説明しきれません。
環の中に含まれている比較的大きな粒子が,別の環粒子の「掃除」にかかわっている可能性も指摘されています。
環そのものの成因は興味深いところです。
いくつかの説はあるものの,まだ最終的な答えは出ていません。
説のうちの一つは,潮汐力による破壊説です。
ある天体が土星半径の2.44倍から内側に近づくと,土星の潮汐力によって破壊されることがわかっています。
この半径のことを「ロッシュ半径」とよびます。しかし探査の結果などから,ロッシュ半径の外側にも環が広がっていることがわかりました。
またロッシュ半径という考え方はあくまでも理論的なものであり,たとえば小さな衛星はいくら近づいても破壊されないことが計算で示されました。
最近では,環は土星付近にあった小天体どうしが衝突した結果か,土星本体が形成されたときの物質が,衛星になりきれないまま残ったものと考えられています。
環の中には奇妙にねじれた形をしたものや,まるで自転車のスポークのような模様をもつものがあります。
このような,これまでの環の概念をくつがえすような形状の原因については,まだ確実な結諭は出ていません。
土星の環について
環は土星からD、C、B、A、F、G、E環の順番に展開しています。
A〜C環が地球から見える環です。現在のAとB環を最初に発見(1610年)したのは、イタリアのガリレオ・ガリレイです。
しかし、観測に使った手作りの望遠鏡の分解能が低かったため、これ等が環であることに気付かず、ガリレオは「耳のような物体」と呼んだのです。
1655年になって、オランダのクリスチャン・ホイヘンスが環であることを発見しました。
20世紀までA、B、C環が土星の環と考えられていたが、1969年に地上の観測でD環が、1971年にパイオニア11号によりF環が、1980年にボイジャー1号によりE環とG環がそれぞれ発見されました。

A環

地球から見える一番外側の環である。幅は1万4600kmあり、土星の赤道表面上空6万1870kmの距離から広がっている。ドイツのヨハン・フランツ・エンケが発見した幅320kmのエンケの間隙がある。この中を羊飼い衛星のパンとアトラスがまわっている。

B環

一番幅が広くて明るく、粒子の密度も濃い環である。環の幅は2万5600km、土星の赤道表面上空3万1570kmの距離から広がっている。ボイジャー1号(1980年11月)の観測で、B環に自転車のスポークのような黒い影(Spokes Ring)が発見された。分析の結果、これは非常に細かい粒子の集合であることが分かった。B環とA環の間には、有名なカッシニの間隙(幅2600km)がある。
C環
クレープ(ちりめん)環とも呼ばれる。名付けたのはイギリスのウィリアム・ラッセルである。一番青い環で、地球からは最もかすかに見える。幅は1万7500kmで、土星の赤道表面上空1万4170kmの距離から広がっている。幅270kmのマクスウェルの間隙がある。1838年、ベルリン天文台のヨハン・G・ガレにより発見されたが、1850年のW・C・ボンドとG・P・ボンドの父子さらにW・R・ダウエスの観測によって正式に認められた。

D環 

最も内側にある非常にかすかな環で、土星に触れんばかりの近さにある。1969年5月の地上の観測により、C環の内側にある極めて薄い環が発見されD環と名付けられた。土星の赤道表面上空1万2000kmの距離から2170kmの幅に広がっている。

E環 

最も外側の非常に見えにくい環である。1980年11月12日、土星に12万4200kmまで最接近したボイジャー1号により発見された。E環は、土星の赤道表面上空12万7670kmの距離から29万kmもの幅に広がっている。E環を構成する氷の粒子は特に細かく、密度も非常に希薄である。
土星の環
F環
明るく見える細い環である。1979年9月1日、土星の赤道表面まで2万900kmに最接近したパイオニア11号(史上初の近接観測)が、A環の外側にあるF環を発見した。赤道の表面上空7万9880kmから490kmの幅で広がっている。1980年11月12日、土星に75万kmまで接近したボイジャー1号の観測で、よじれた2本の小環があることが分かった。これは、羊飼い衛星のパンドラとプロメテウスの重力によって、環を構成する粒子が羊の群のように追いやられたために生じたと考えられている。
G環 
E環と共に見えにくい外側の環の一つである。1989年11月12日、ボイジャー1号の観測により確認された。土星の赤道表面上空10万5470kmの距離から8000kmの幅に広がっている。
カッシーニの間隙
1675年、イタリア生まれのフランス人天文学者で当時パリ天文台長のジョバンニ・ドミニク・カッシニがA環とB環の間にある幅2600kmの間隙を発見し、カッシニの間隙と呼ばれるようになった。当時は、二つの環を隔てるすき間であると考えられたが、1980年のボイジャー2号の観測により、5本の細い環(小環)があることが分かった。 画面内側の広く暗い部分がカッシニの間隙である。右側の暗い部分がエンケの間隙である。
カッシーニの間隙・エンケの間隙
カッシーニの間隙・エンケの間隙
土星 土星の衛星タイタン
土星 タイタン
土星の基本データ
軌道長半径
(天文単位)
公転周期
(年)
自転周期
(日)
赤道半径
(km))
質量
(地球=1)
平均密度
(kg/u)
表面重力
(地球=1)
衛星数
9.555 29.46 0.444 60,268 95.16 690 0.93 63
Q2.土星にも木星と同じように縞模様が見られますが、おなじものなのですか。
A2.土星本体にも木星と同様、赤道に並行な縞模様がみられます。
このことからも,大気の運動が木星とよく似ていることがわかります。

しかし,土星の赤道付近における風速は,秒速500メートルにも達します。
おだやかにみえる土星ですが,大気の運動は比較的はげしいのです。また木星とはことなり,土星では風はほとんどが西風です。
土星の大気中にみられる不思議な模様としては,北極を中心とした巨大な六角形があります。
まるでヒトデのようにみえるこの模様は,北緯76度付近をちょうど北極を取り巻くような形で一周しています。
北極からはこの模様に向かって直線状の筋が6本出ています。なぜこのような模様ができるのかはまったくのなぞです。
土星でも大気中にときおり渦巻き状の斑点模様ができます。
この点も木星に似ていますが,木星とことなり,この斑状模様は白いので「大白斑」とよばれます。
大白斑を最初に発見したのはアメリカの天文学者ホールで,1876年のことです。
木星の大赤斑は少なくとも300年以上つづいていますが,大白斑は比較的短命で数週間から数か月,長くても1年程度です。
大白斑は土星大気下部から上昇してきた大気が,上空で凝結して雲をつくっている現象といわれています。
雲の成分はおそらくアンモニアの粒子だと考えられています。
最近では1990年9月に,土星の北半球の低緯度地域に大白斑が突然あらわれました。
この出現はおよそ30年ぶりでした。みつかってから数日の間に光り輝くようになりました。
このときの大白斑は直径8万キロにもおよぶ巨大なもので,ハッブル宇宙望適鏡での観測も行われるなど話題をよびました。
Q3.土星の内部構造は木星と比べてどうですか。また磁場を持っていますか。
A3.理論的な計算によると,土星の内部構造も木星とよく似ており,中心には岩石や氷などでできたコアがあると考えられています。
その外側には,液体状の金属水素とヘリウムでできた領域があり、さらにその外側は分厚い大気になっているようです。
この大気も深いところでは圧カが高いため,液体状になっています。
大気の成分はほとんどが水素とヘリウムで,水素が全体の97%を占めています。
木星と同じように液体水素からなる内部構造をもち,自転速度が約10時間半と速いことから,土星にも強い磁場があります。
木星磁場よりは弱いものの,それでも地球磁場の20倍の強さをもっています。
土星も内部からエネルギーを放出しています。
そのため土星の表面温度は、太陽のエネルギーだけで温められているとして計算した温度より数十℃高くなっています。
しかもその熱源は,木星の場合に想定されている形成時の重力エネルギーだけでは説明できません。
土星の内部エネルギーの原因として,液体金属水素の中をヘリウムや氷などが落下していくときに解放される重力エネルギーを考える科学者もいます。
Q4.土星の衛星には、どのようなものがありますか。最大の衛星タイタンとは、どんな衛星ですか。
A4.土星の衛星の数は63個(うち、3個は不確定)もあり,太陽系で最も多く発見されています。
土星の衛星はタイタンを除くといずれも半径数百キロ以下で,ほとんどが氷からできています。
そして木星の衛星にくらべると氷の比率が高いのです。
密度などから推定するかぎりでは,多くの衛星で90%以上の成分が氷でできているようです。
最大の衛星であるタイタンは,半径が約2600キロで太陽系の衛星の中でも最大級です。
ボイジャー探査機が撮影したタイタンの写真では,ただオレンジ色のスモッグが映っているだけでした。
表面のようすについてはまったくわかっていません。
内部には大きな岩石のコアがあり,その外側は岩石と氷の混合物からできていると推定されています。
タイタンは,地球の1.5倍も濃い大気(1.5気圧)をもつめずらしい衛星です。
地球の半分のサイズにも満たない衛星でこれだけ濃密な大気を維持できる理由は,タイタンが非常に冷たい環境にあるからです。
タイタンの表面温度は,マイナス180℃という寒さです。
このような環境では大気を構成するガスの分子の運動が鈍くなり,タイタンの重力でもガスをひきとめておくことができるのです。
タイタンの大気の主成分は窒素で,メタンが数%まじっています。
またシアン化水素などもみつかっていて,アセチレンやエテレンなどの有機物も検出されています。
このことから,タイタンの表面にはかなり複雑な有機物が存在する可能性もあるとみられています。
タイタンには,生命が誕生している可能性があるという人もいます。
おそらくタイタンには広大なメタンの海が広がり,濃密な大気の中ではメタンの雨が降り注いでいることでしょう。
テティス
テティス
ディオネ
ディオネ
イァペトウス レア
イァペトウス レア
Q5.タイタン以外の衛星ではどんなものがありますか。
A5.ミマスは半径200キロ足らずの小さな衛星ですが,その中央部にはミマスの直径の3分の1もの大きさをもつ巨大なハーシェル・クレーターが存在します。
太陽系の多くの衛星や惑星で発見された最大のクレーターは,ほとんどが衛星や惑星の直径の3分の1くらいの直径をもっています。
たとえば水星にあるカロリス盆地、月の南半球にあるアイトケン・クレーター,火星のヘラス盆地、木星の衛星カリストのヴァルハラ,そしてこのミマスのハーシェル・クレーターなどです。
これらのクレーターが意味するところは,おそらくこれ以上のサイズのクレーターをつくるような衝突があれば,衛星や惑星全体が破壊されてしまうということだと考えられます。
ミマスは破壊からぎりぎり生き残った衛星かもしれません。
ディオネは表面全体がクレーターでおおわれている典型的な氷衛星です。
このディオネと同じ公転軌道の上を別の衛星が公転しています。
このもう一つの衛星は,ディオネの軌道の「ラグランジュ点」とよばれる地点にあります。
ラグランジュ点は天体力学的にみて安定な点であり,この点にいる天体はディオネとぶつかることなく公転することが可能です。
この小さな衛星はヘレネと名づけられました。
同じようにテチスの公転軌道上にも,ラグランジュ点に二つの小衛星,テレストと力リプソが存在します。
土星の衛星ミマス
ミマス
衛星名 直径(km) 平均軌道半径
(km)
質量(kg) 公転周期
(日)
発見者 発見年
パン 30 133,584 2.7 ×1015 0.57505 ショーウォルター 1990
ダフニス <7 136,505 ?? 0.59408 カッシーニ探査機 2005
(R/2004 S 1) ?? 137,630 2004
アトラス 31 137,670 1.1 ×1016 0.60169 テリル 1980
(R/2004 S 2) ?? 138,900 2004
プロメテウス 86 139,380 3.3 ×1017 0.61299 コリンズ 1980
S/2004 S 6 <5 140,130 0.61801 2004
S/2004 S 4 <5 <140,100 0.619 2004
S/2004 S 3? <5 <140,300 <0.62 2004
パンドラ 80 141,720 1.94 ×1017 0.6285 コリンズ 1980
エピメテウス 113 151,422 5.35 ×1017 0.69433 ウォーカー 1980
ヤヌス 179 151,472 1.98 ×1018 0.69466 ドルフュス 1966
ミマス 397 185,404 3.84 ×1019 0.942422 ハーシェル 1789
メトネ 3 194,440 ?? 1.00957 カッシーニ探査機 2004
アンテ <2 197,700 ?? 1.0365 2007
パレネ 4 212,280 ?? 1.15375 カッシーニ探査機 2004
エンケラドゥス 504 237,950 1.08 ×1020 1.370218 ハーシェル 1789
テティス 1,066 294,619 6.176 ×1020 1.887802 カッシーニ 1684
テレスト 24 294,660 ?? ライツェマ 1980
カリプソ 21 294,660 ?? パスキュ 1980
ディオネ 1,123 377,396 1.096 ×1021 2.736915 カッシーニ 1684
ポリデウケス 13 377,396 ?? カッシーニ探査機 2004
ヘレネ 33 377,400 ?? ラキュ 1980
レア 1,529 527,108 2.3166 ×1021 4.518212 カッシーニ 1672
タイタン 5,151 1,221,930 1.345 ×1023 15.94542 ホイヘンス 1655
ヒペリオン 292 1,481,010 5.686 ×1018 21.27661 ボンド 1848
イアペトゥス 1,472 3,560,820 1.9739 ×1021 79.3215 カッシーニ 1671
キビウク <16 11,294,800 ?? 448.16 グラッドマン 2000
イジラク <12 11,355,316 ?? 451.77 カベラーズ 2000
フェーベ 220 12,869,700 7.2 ×1018 -545.09 ピッカリング 1899
パーリアク <22 15,103,400 ?? 692.98 グラッドマン 2000
スカジ <8 15,672,500 ?? -732.52 カベラーズ 2000
アルビオリックス <32 16,266,700 ?? 774.58 ホーマン 2000
S/2007 S 2 <6 16,560,000 ?? -792.96 2007
ベビォン <6 17,153,520 ?? 838.77 シェパード 2004
エリアポ <10 17,236,900 ?? 844.89 カベラーズ 2000
スコル <6 17,473,800 ?? -862.37 シェパード 2006
シャルナク <40 17,766,600 ?? 884.88 グラッドマン 2000
タルクェク <7 17,910,600 ?? 894.86 シェパード 2007
S/2004 S 13 <6 18,056,300 ?? -905.848 シェパード 2004
グレイプ <6 18,065,700 ?? -906.56 シェパード 2006
ヒュロッキン <8 18,168,300 ?? -914.29 シェパード 2006
ヤールンサクサ <6 18,556,900 ?? -943.78 シェパード 2006
タルヴォス <15 18,562,800 ?? 944.23 グラッドマン 2000
ムンディルファリ <7 18,725,800 ?? -956.7 グラッドマン 2000
S/2006 S 1 <6 18,930,200 ?? -972.41 シェパード 2006
S/2004 S 17 <4 19,099,200 ?? -985.45 シェパード 2004
ベルゲルミル <6 19,104,000 ?? -985.83 シェパード 2004
ナルヴィ <7 19,395,200 ?? -1,008.45 シェパード 2003
スットゥングル <7 19,579,000 ?? -1,022.82 グラッドマン 2000
ハティ <6 19,709,300 ?? -1,033.05 シェパード 2004
S/2004 S 12 <5 19,905,900 ?? -1,048.54 シェパード 2004
ファールバウティ <5 19,984,800 ?? -1,054.78 シェパード 2004
スリュムル <7 20,278,100 ?? -1,078.09 グラッドマン 2000
エーギル <6 20,482,900 ?? -1,094.46 シェパード 2004
S/2007 S 3 <5 20,518,500 ?? <-1,100 シェパード 2007
ベストラ <7 20,570,000 ?? -1,101.45 シェパード 2004
S/2004 S 7 <6 20,576,700 ?? -1,101.99 シェパード 2004
S/2006 S 3 <6 21,076,300 ?? -1,142.37 シェパード 2006
フェンリル <4 21,930,644 ?? -1,212.53 シェパード 2004
スルト <6 22,288,916 ?? -1,242.36 すばる望遠鏡 2006
カーリ <7 22,321,200 ?? -1,245.06 すばる望遠鏡 2006
ユミル <18 22,429,673 ?? -1,254.15 グラッドマン 2000
ロゲ <6 22,984,322 ?? -1,300.95 すばる望遠鏡 2006
フォルニョート <6 24,504,879 ?? -1,432.16 シェパード 2004
Q6.ラグランジュ点について説明してください。
A6.ラグランジュ点とは、例えば図のように惑星と衛星1に対して、正三角形のもう一つの頂点に当たる同一の軌道上にある衛星2が存在する点のことです。
ラグランジュ点同様に、衛星3もラグランジュ点となります。
他にもラグランジュ点はありますが、安定して存在できるのは、この2点です。
ラグランジュ点の関係にある天体は、小惑星帯にも発見されています。
これらのラグランジュ点の関係にある天体は、その位置関係を崩さずに安定して存在するので、同一軌道上にある衛星が決して衝突することなく、惑星の周りを回り続けるのです。
本来は、3つの天体が存在すると、その運動を正確に予言することは一般に不可能なのですが、ラグランジュ点は3体問題が解ける特別な例なのです。
Q7.土星の衛星で公転軌道が異常に接近したものがあるそうですが、どうして衝突しないのですか。
A7.ヤヌスとエピメテウスは土星のすぐ近くを公転する小さな衛星です。
いずれも公転軌道の半径が約15万キロと非常に近接した軌道を公転しています。

実際,両者の軌道半径のちがいは50キロしかありません。
しかもこれらの衛星はほんのわずかしか公転周期がちがわないため,4年に1回接近することになります。
衛星の直径は小さいとはいっても100キロ以上あるので,接近時には衝突してしまうはずです。
計算の結果,これら二つの衛星は,接近するとたがいの公転軌道を交換し合うことがわかりました。
ヤヌスとエピメテウスは,こうして長い間破局をさけつづけてきたのでしょう。
二つともいびつな形をしていることから,もともとこれらは一つであったのが,衝突などによって二つに分裂したのではないかとも考えられています。