Q1.水星は、どんな惑星ですか。
A1.太陽系のいちばん内側をまわる水星には大気がなく,昼夜の温度差が極端な過酷な世界です。
強烈な日射にさらされる昼は,430℃にもなる灼熱地獄ですが,夜は放射冷却によってマイナス170℃という極寒の世界になります。
これではとても人が住むには適さない環境です。
水星の自転周期は58.65日であり,公転周期87.97日のちょうど3分の2です。
そのため水星での昼夜は,水星の2公転に相当する約176日です。
近日点では2公転ごとに必ず同じ面が太陽方向を向きます。
   水星の基本データ
軌道長半径
(天文単位)
公転周期
(日)
自転周期
(日)
赤道半径
(km))
質量
(地球=1)
平均密度
(kg/u)
表面重力
(地球=1)
衛星数
 
0.387  87.97  58.65  2,440  0.055  5,430  0.38
水星
水星
水星地図
上の写真は、マリーナ10号が撮影した水星です。下の写真はマリーナ10号が撮影した写真を組み合わせた地図です。
見ての通り、無数のクレーターにおおわれた月によく似た風景です。
これだけのクレーターがあるところを見ると、水星では比較的早い段階で火山活動による地形の更新が終わってしまったと考えられます。
水星は、小さい惑星なので早めに内部が冷えてしまったと考えられます。
Q2.水星の表面の様子はどうなっていますか。
A2.水星の表面は,月とよく似た無数のクレーターにおおわれた荒涼とした世界です。
これは水星が月と同じように,形成後の早い時期に地殻が形成され,その後にはげしい隕石の衝突があったことを示しています。
発見されたうち最大のクレーターは「カロリス盆地」とよばれる同心円状の構造をもつ多重クレーターです。
その直径は約1300キロであり,これは水星の直径の4分の1に相当します。
カロリス盆地は,直径100キロ程度の小惑星が衝突した跡だと考えられています。
この大衝突によって生じた衝撃波は水星の裏側まで伝わり,複雑な凹凸地形を形成しました。
大きなクレーターの裏側の複雑な地形は,木星や土星の衛星,地球の月などでも発見されており,太陽系の惑星形成の過程を理解するうえで重要です。
水星の表面には,月の海とよく似たクレーターの比較的少ない地域がみつかっています。
月の海は火山活動による玄武岩質の溶岩でおおわれた地域であり,水星にも形成後に火山活動があったことを示しています。
月の海は陸の部分にくらべて色合いが黒いのに、不思議なことに水星の海は陸の部分とほとんど同じ色をしています。
Q3.水星は、密度が大きい惑星とのことですが、どうしてですか。
A3.水星の半径は2,440kmで月と火星の中間の大きさしかありません。
しかし,平均密度は1立方メートルあたり5,430kgと惑星の中では地球に次いで大きいのです。

地球の平均密度は,地球自身の重力による圧縮のために見かけ上大きくなっていますが,水星は重力が小さいので,水星を形づくる物質そのものが重いことを意味しています。
これは水星が太陽に近く,原始太陽系星雲の中の高温領域で凝縮した重い物質が集まって形成された結果だろうと考えられています。
水星の母体がコアとマントル,地殻に分離したあとに,ほかの原始惑星との巨大衝突がおこり,表面の軽い物質がはぎ取られて,現在の重い水星ができたという考えもあります。
Q4.水星の内部はどうなっているのでしょうか?
A4.地球型惑星の内部は,重い物質である鉄・ニッケル合金のコアと,軽い物質であるケイ酸塩のマントルや地殻が,タマネギ状の層構造をしていると考えられています。
水星は高い平均密度をもつことから,水星の半径の3分の2から4分の3にもなる非常に大きな金属コアが存在すると考えられています。
このような巨大な金属コアの存在は,地球にみられるような固有の磁場の存在を推測させます。
実際,アメリカの探査機マリナー10号に搭載された磁力計は,水星表面付近に地球磁場の強度の1%ほどの固有磁場を観測しました。
半径が小さく,しかも自転の遅い水星に固有磁場があるということは,水星にも地球のように大きな液体のコアが存在することを推測させます。
しかし小さい水星は冷却速度が速く,一度はとけたコアも現在までに固化してしまった可能性もあります。
水星の表面にみられる断崖地形のリンクルリッジは,水星の内部が冷却し固化・収縮してできた表面のしわだと考えられています。
これは磁場から推測される大きな液体コアの存在と矛盾するようにみえます。
水星の内部構造や磁場は,惑星の形成・進化や,磁場のなりたちを探る重要な手がかりであり,今後の探査が期待されています。
Q5.水星に氷があるって本当ですか?
A5.1990年代に入り,水星の両極に電波の反射率がいちじるしく高い領域のあることがわかりました。
そこには氷の層が存在するらしい。

その大きさは,北極・南極ともに100キロをこえます。
とくに南極冠の位置はカオ・メン・フー・クレーターと一致しており,このクレーターの中に太陽光が永久に当たらない「永久影」があるようです。
太陽に最も近い水星では,赤道地方は太陽が強烈に照りつけて高温になります。
極地方は太陽光が低い角度でしか当たらないため,クレーターのようなくぼ地の底には「永久影」ができる可能性がある。
永久影の表面温度は約マイナス210℃に保たれると計算されています。
そこでは氷は何十億年も存在することができます。マリナー10号の写真では氷は発見されていません。
氷の上を1メートル程度の厚さの土がかぶっているのかもしれません。
水星の極地方にほんとうに氷があるのか?
それは実際にそこへ行って確かめるまでわからないと思われます。