富山県のダム
富山県のダムダムの種類 
ダムは、大きく2つに分類することができます。
ひとつはコンクリートダムで、主にコンクリートを使って造るものです。
これには、重力式コンクリートダム、アーチ式コンクリートダム、中空重力式コンクリートダム、パットレスダムなどがあります。
もうひとつはフィルダムで、主に石や土を盛り上げて造るものです。
これには、ロックフィルダム、アースダムがあります。
中には重力式コンクリートダムとフィルダムの複合ダムもあります。

ダムの種類重力式コンクリートダム
小牧ダム
小牧ダム

堤体にかかる水圧をダム自身の重量により支える構造のダムです。
コンクリートを材料に、堅固な基礎岩盤の上につくられます。
ほとんどの形状の川や谷に建設できるため、現在建設されるダムの半数以上がこの形式です。
ただしコンクリートなどの資材が多く必要となります。また、建設にかかる期間も長くなりがちのようです。
この形式のダムで最も堤高が高いのは、奥只見ダム(157m)です。
   
ダムの種類アーチ式コンクリートダム
刀利ダム
刀利ダム

コンクリートで作られたダムで、上から見た形がアーチ型なのでこう呼ばれます。アーチの持つ力学的特性によって、水圧の大部分を両岸の岩盤に伝えることにより、重力式コンクリートダムと比べ堤体を薄くすることができ、経済的ですが、ダムの両岸の岩盤に伝わる力が大きくなりますので、両岸に良好な岩盤が必要です。
この形式のダムで最も堤高が高いのは、黒部ダム(186m)です。黒部ダムは、全ての形式のダムで最も堤高が高いダムです。
   
ダムの種類中空重力式コンクリートダム
高根第2ダム
高根第2ダム

重力式コンクリートダムと同様、水の力をダムの重さで支えています。重力式との違いは、コンクリートの量を節約するためにダムの中が空洞になっていることが特徴です。横から見ると三角形の形をしています。
しかし構造が複雑でかえってコストがかかり、現在では13基が残るのみで、今後新規に建設されることはないでしょう。
この形式のダムで最も堤高が高いのは、畑薙第1ダム(125m)です。 
  
ダムの種類重力式アーチダム
鷲ダム
鷲ダム

重力式コンクリートダムとアーチ式コンクリートダムの両方の特性を持ったダムです。
両側の岩盤で水圧を支え、同時に堤体自身の重さで水圧を支えています。
よって重力式ダムよりもコンクリートの量は少なくて済みます。
アーチダムとの違いは堤体下流側が下に行くに従って厚みが増し、広がっていることです。
アーチダムだと、堤体が垂直に立っているか(円筒型)、むしろ下流側に湾曲している(ドーム型)ので違いが分かります。
この形式のダムは国内では13基しかなくたいへん珍しい形式です。
この形式のダムで最も堤高が高いのは、新成羽川ダム(103m)です。
  
ダムの種類バットレスダム
真立ダム
真立ダム

水をせき止めるうすいコンクリートの壁をバットレスという壁で支えるダムです。使用する材料は他の型式に較べて最も少なくて経済的ですが、構造が複雑で地震に弱いため、日本ではあまり大規模なものは造られていません。
日本に現存しているバットレスダムは、6基だけですが、富山県には真川調整池と真立ダムの2基があります。
ただ、残念ながらこの2基はいずれも行きにくいところにあり、幻のダムとも言えます。
この形式のダムで最も堤高が高いのは、丸沼ダム(32.1m)です。
 
ダムの種類ロックフィルダム
子撫川ダム
子撫川ダム

土や岩石を材料として盛り立てて造られるダムで、中央遮水壁型は、水漏れを防ぐためにダム中央部にコアと呼ばれる水を通さない粘土質の材料を盛り立てます。
ロックフィルダムの底面積は広く重さが分散されて地盤に伝わるため、底面積の狭いコンクリートダムよりも地盤が悪い所でも造ることが出来ます。
この形式のダムで最も堤高が高いのは、高瀬ダム(176m)です。
  
ダムの種類アースダム
古洞ダム
古洞ダム

アースダムは、最も古くからある形式で粘土や土を材料として盛り立てて造られるダムです。日本のダムでは最も多いタイプです。ただし、地震や越流に弱く、洪水調節用には向きません。ほとんどはかんがい用です。
あまり大規模なダムには向きませんが、底面積が大きいため軟弱な地盤にも造ることが出来ます。ただし、世界で最も堤高が高いタジキスタンのヌレークダムは堤高が300mなのですが、アースダムです。
地震がない地域だからということもあるのでしょうか。
この形式のダムで最も堤高が高いのは、清願寺ダム(60.5m)です。  
   
ダムの種類重力式コンクリート・フィル複合ダム
白岩川ダム
白岩川ダム

重力式コンクリートダムとフィルダムとの二つの型式のダムが連続して一つのダムを形成している構造のダムです。
この場合、フィルダムはロックフィルダムとアースダムのいずれの場合も存在します。ダム建設地点の何れかの河岸の岩盤が堅固でない場合に採用される事があります。
富山県内では、白岩川ダムがこれに該当します。
この形式のダムで最も堤高が高いのは、竜門ダム(99.5m)です。
  
ダムの種類台形CSGダム

台形CSGダムは、最近日本で開発された新しい技術に基づくもので、堤体の断面が台形で、材料にCSGを使用したダムです。
CSGとは、Cemented Sand and Gravel の略で、河床砂礫や掘削ズリなどの現地発生材に、セメント、水を添加し、簡易な練り混ぜにより製造されるセメント系の材料のことを示します。
コンクリートに比べて強度は小さいが、従来ならば捨てていた河床砂礫や掘削ズリを利用できて原石の採取量を減らすことができることから、経済性、環境保全などの面で優れているといわれています。
ダム現場におけるCSGとしては、1992年に長島ダムの上流仮締切堤が施工されており、以降、ダムの現場でも施工事例が増加してきています。
台形CSGダムは、コンクリートダムと比べて強度の点で劣るために、垂直に切り立った堤体にはできないために横から見ると台形状の堤体として建設されます。
2008年時点ではまだ完成した台形CSGダムはないものの、いくつかのダムが建設中となっています。
  
ダムの種類地下ダム

地下ダムは、従来のダムが地上に建設されて、河川や湖沼の水を貯めるのに対して、地下に止水壁を造り、地下水を貯めるダムです。
地下水の利用として有効な手段であるため、河川水等の取水が困難な離島や半島などを中心として、順次設置されつつあります。
設置条件としては、
@ 必要な地下水を貯留することのできる空隙を持ち、かつ貯留した地下水を効率よく摂取するだけの透水性を持った地層(貯留層)が存在すること。
A その地層の下位及び周囲に、地下水を逃がさない、水を通しにくい地層(不透水性基盤)が存在すること。
B 貯水量に見合う地下水の補給(涵養)があること。
などがあります。
沖縄、九州の離島ではこの条件を満たす事が多く、既に数基の地下ダムが設置されています。