JR東日本・篠ノ井線 姨捨駅
姨捨(おばすて)
冠着姨捨稲荷山
所在地 長野県千曲市大字八幡姨捨4947
所属事業者 東日本旅客鉄道(JR東日本)
所属路線 篠ノ井線
キロ程 54.2km(塩尻駅起点)
駅構造 地上駅
ホーム 2面2線
乗車人員  64人/日(2018年)
開業年月日 1900年(明治33年)11月1日
備考 無人駅 乗車駅証明書発行機 スイッチバック駅
姨捨駅
姨捨駅
相対式ホームと跨線橋と211系電車 特急「しなの」が通過します
相対式ホームと跨線橋と211系電車 特急「しなの」が通過します
待合室 窓口は閉まっているようです
待合室 窓口は閉まっているようです
相対ホームと跨線橋があります HB-E300系気動車「リゾートビューふるさと」
相対ホームと跨線橋があります HB-E300系気動車「リゾートビューふるさと」
駅の概要
スイッチバック
スイッチバック
姨捨駅(おばすてえき)は、長野県千曲市大字八幡姨捨にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)篠ノ井線の駅です。
標高551mの山の中腹に位置し、全国でも数少ないスイッチバック方式を擁する駅です。
冠着山(かむりきやま)に近いが、その山頂は、駅舎及びホームからは山襞や樹木に隠れて望見はできません。
当駅のホームから見下ろす善光寺平は、日本三大車窓の一つと数えられています。
他の二つは、根室本線の狩勝峠(現在はルート変更により廃止)と、肥薩線の矢岳駅です。
長野県下にある国指定の名勝5か所のうちの一つでもある「田毎の月」(長楽寺持田である四十八枚田に映る月)が有名です。
標高が高く眺望の良い手近な場所に当駅が設置されたことにより、観月と風景を楽しむ周辺の観光エリアが広がりました。
日本経済新聞社の2007年アンケート「足を延ばして訪れて見たい駅」の全国第2位にランクされました(1位はJR九州門司港駅)。また2008年9月6日号の『日本経済新聞』朝刊別刷り「日経プラス1」紙面において、全国に数ある月の名所の中から、当駅周辺が第1位の「お月見ポイント」に選ばれた。『日経おとなのOFF』では「日本三大名月の里」の1つに数えられている。
2012年(平成24年)8月1日には「日本夜景遺産(自然夜景遺産)」に認定されています。
手前が本線で、右上が駅への引き込み線
手前が本線で、右上が駅への引き込み線
後述のナイトビュー姨捨も2015年(平成27年)7月27日に「日本夜景遺産(施設型夜景遺産)」に認定されています。
当駅は無人駅ではあるが、こうした風景の良さから旅行者がしばしば立ち寄り、週末には周辺住民有志が来訪者にお茶を振る舞うなどしてきました。後述のように「TRAIN SUITE 四季島」が停車するようになってからは知名度が上がり、住民有志が販売を請け負う記念乗車券の販売枚数が2017年は約3600枚と、2016年より1100枚程度増えたということです。
見下ろす善光寺平は、川中島の戦いの古戦場となっています。麓の武水別神社では、上杉謙信が武田信玄の討滅を祈願したと伝えられています。
当駅は、相対式ホーム2面2線を有するスイッチバック方式の地上駅です。駅付近の本線は、稲荷山付近から冠着トンネルまで最大25 ‰の上り勾配となっています。また、スイッチバックの引き上げ線内も奥へ向かって25 ‰の上り勾配になっていて、水平になっているのは駅の着発線付近のみです。かつては駅の着発線のさらに奥に66.7 ‰の急勾配が設置されており、ブレーキが効かずにオーバーランした車両を受け止める避難線となっていました。この線路の跡地は、姨捨変電所と駅利用者のための駐車場になっています。
本線上にホームは設置されておらず、通過列車は当駅のホームには入線しません。
本線を特急「しなの」が通過します
本線を特急「しなの」が通過します
当駅に停車する場合、上り列車は急な上り勾配が続く本線から左側に分岐して水平に行き止まりの引き上げ線に入り、そこで進行方向を後ろ向きに変え本線を横切ってホームに入線する。発車時は再び進行方向を前向きに変え、本線へ進みます。
下り列車は逆に本線から左側に分岐して水平のホームに入線し、発車時は後進し本線を横切って引き上げ線に入った後に改めて前進します。
駅舎は大正デモクラシーの時代の設計であり1934年(昭和9年)に完成したものです。木造で約100平方メートルあります。
古くは貨物や小荷物も取り扱っていましたが、1972年(昭和47年)3月に国鉄の駅としては無人駅となっています。
無人化後も、平成初めごろまでは構内にキヨスクがあり、簡易委託として硬券の乗車券が販売されていました。
しかし店主の引退に伴い売店が閉店となり、完全に無人駅となっています。駅の管理は長野駅によって行われています。乗車駅証明書発行機が設置されています。
なお、スイッチバック方式の駅として設置された目的に「蒸気機関車への給水」があったが、1970年(昭和45年)2月に蒸気機関車の運行が行われなくなったため、現在では給水設備は撤去されています。この区間の電化は1973年(昭和48年)3月28日であり、蒸気機関車廃止から電化までの間は気動車(ディーゼル車)による運行がされています。
2010年(平成22年)に駅舎のリニューアル工事が行われ、同年7月24日に記念式典が行われた。このリニューアルでは、1934年当時の様子の復元が行われ、手小荷物扱い窓口が再現され、内壁や天井、建具などの修繕が行われています。さらに9月7日には2番線ホームに半径2.5mの展望台が設置されました。
また、4月頃から11月頃までの休日は地元の有志の方々により「くつろぎの駅」として、駅事務室の開放やお茶のおもてなしなどが行われます。
「くつろぎの駅」開設期間を通して、2018年までは硬券の記念入場券を買うことができました。出札業務は行われていません。
さらに、2017年5月から運行開始されたクルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」の停車に合わせ、ホーム上に新たに展望ラウンジとバーが設置されています。

駅の利用状況
JR東日本によると、2018年度(平成30年度)の1日平均乗車人員は64人です。

乗車人員推移
年度 1日平均乗車人員
2014年(平成26年) 60
2015年(平成27年) 61
2016年(平成28年) 56
2017年(平成29年) 56
2018年(平成30年) 64

駅の歴史
  • 1900年(明治33年)11月1日:国鉄篠ノ井線 篠ノ井駅 - 西条駅間の開通と同時に開業しました。旅客・貨物の取扱を開始しました。
  • 1934年(昭和9年):駅舎を改築しています。
  • 1960年(昭和35年)6月1日:貨物の取扱を廃止しました。
  • 1972年(昭和47年)3月:無人化されています。
  • 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により、東日本旅客鉄道に移管されました。
  • 2010年(平成22年) 7月24日:駅舎リニューアルが完成し記念式典を開催しました。
  • 9月7日:2番線ホームの展望台の利用を開始しました。
  • 2012年(平成24年) 4月20日:「リゾートビューふるさと」の車両を使用し、長野駅始発で当駅の夜景鑑賞を目的とした臨時快速列車「ナイトビュー姨捨」の運行を開始しました。
  • 8月1日:「日本夜景遺産(自然夜景遺産)」に認定されました。
  • 2016年(平成28年)5月10日:クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」の運行開始に合わせて、駅整備をすることを発表。概要は上りホーム待合室のリニューアルと「TRAIN SUITE 四季島」の車両に合わせたホームの嵩上となっています。
のりば
番線 路線 方向 行先
1 篠ノ井線 下り 篠ノ井方面
2 上り 松本・塩尻方面