海上自衛隊のその他の支援艦艇
訓練支援艦「くろべ」型   ATS "KUROBE" Class
スペックデータ
基準排水量 2,200t
主要寸法  101x16.5x8.5x4.0m (長さ、幅、深さ、喫水)
主機械 富士ディーゼル8MG28HXディーゼル4基
2軸推進
馬 力 9,100PS
速 力 20kt
主要兵装    62口径76ミリ速射砲×1
BQM-34AJ 高速標的機 × 4機
BQM-74E 無人標的機チャカV × 4
特殊装置 標的機多重管制装置
ミサイル評価装置
定 員 155名
同型艦 ATS-4202「くろべ」
ATS4202「くろべ」
訓練支援艦「くろべ」について
 「あづま」に次いで建造された2代目の訓練支援艦。護衛艦の対空・対水上訓練を支援するのが任務で、「あづま」1隻では対応できなくなったために建造された。また「あづま」に搭載される無線標的機が旧式化しミサイル戦時代の高速標的機運用艦が必要であったことも建造理由の一つである。
 高速標的機であるBQM−34AJファイア・ビーとチャカIIをそれぞれ4機ずつ搭載し、多重管制装置により同時に複数(最大4機)の標的を誘導することが可能となっている。また護衛艦から発射されたミサイルの射撃評価を行うための評価装置と追跡レーダーも備えている。なお、「あづま」では搭載されていた対潜兵装は全廃されている。
 4基のディーゼル機関を搭載しているが、排煙は2本の並列に設置された独特の煙突から排気される。
訓練支援艦「てんりゅう」型  ATS "TENRYU" Class
スペックデータ
基準排水量  2,450t
主要寸法    106x16.5x8.6x4.1m (長さ、幅、深さ、喫水)
主機械 CODAD方式
新潟8MG28HXディーゼル4基 2軸推進
馬 力 12,500PS
速 力 22kt
主要兵装       62口径76ミリ速射砲×1
BQM-34AJ 高速標的機 × 4機
BQM-74E 無人標的機チャカV × 4機
特殊装備  標的機多重管制装置
ミサイル評価装置
定 員 140名
同型艦 ATS-4203「てんりゅう
ATS4203「てんりゅう」
訓練支援艦「てんりゅう」について
 老朽化した訓練支援艦「あづま」の代艦として建造された艦で海上自衛隊としては3代目の訓練支援艦となる。
 基本的には「くろべ」の改良発展型で、同時に誘導できる標的機の数も「くろべ」と同じ最大4機だが、搭載する無人標的機はチャカIIのみとなっている。
 標的管制は艦橋上部に設置されたフェイズドアレイレーダーによりおこなわれるが、管制能力の向上によりイージス護衛艦の訓練支援にも使用できるようになった。
 訓練評価のためのミサイル追尾レーダーは艦橋上部と後部格納庫上部に設置されている。
多用途支援艦「ひうち」型  AMS "HIUCHI" Class
スペックデータ
基準排水量 980t
主要寸法  65x12.0x5.8x3.5m (長さ、幅、深さ、喫水)
主機械 新潟原動機6MG28HXディーゼル2基 2軸
馬 力 5,000PS
速 力 15kt
装 備    12.7mm機関銃M2 × 2丁
消防装置一式 艦艇曳航装置一式
自走式水上標的・管制装置一式
魚雷回収装置一式
定 員 40名
同型艦 AMS-4301「ひうち」 AMS-4302「すおう」
AMS-4303「あまくさ」 AMS-4304「げんかい」
AMS-4305「えんしゅう」
AMS4301「ひうち」
多用途支援艦「ひうち」型について
 護衛艦などの戦闘艦艇の射撃訓練を支援するため、平成11年度予算から建造が認められた新艦種。
 これまで僚艦による標的曳航などにより訓練を行っていたが、当艦の就役後は当艦が中心となった訓練にシフトしていくであろう。射撃訓練支援用機器としては標的を曳航するための曳航装置が艦尾に搭載されている他、自走式(無線誘導)水上標的を操作するコンソールも搭載されている。
海洋観測艦「ふたみ」型  AGS "FUTAMI" Class
スペックデータ
基準排水量 2,050t
主要寸法  97x15.0x7.6x4.2m (長さ、幅、深さ、喫水)
船型 長船首楼型
主機械 富士6LS27-5XFディーゼル2基 2軸推進
バウスラスター1基
馬 力 4,500PS
速 力 16kt
特殊装置    各種海洋観測装置一式 
定 員  105名
同型艦 AGS5102「ふたみ」 AGS5104「わかさ」
AGS5104「わかさ」
海洋観測艦「ふたみ」型について
 「あかし」に次いで建造された海上自衛隊2隻目の大型海洋観測艦。機雷戦や潜水艦作戦などに必要な海洋データを収集するための艦である。
 建造に際して要求された性能は「あかし」と同等のものであったが、音響観測能力の強化により船体は大型化している。艦首に取り付けられた大型のガントリーが最大の特徴であるが、このガントリーと3台のバウシープを使用して音響観測用ケーブルを海中に敷設したり、逆に収容したりすることができる。また、外洋で錨泊するときはこのガントリーを使用して深海錨舶用の錨を降ろすこともできる。音響観測用ケーブルの他に搭載されている一般観測機器は後部にあるクレーンとウインチで操作し、艦橋後部の観測室で記録・解析をおこなうようになっている。
 観測したデータの位置を記録するための精密艦位測定装置や低速時の安定性・針路保持を図るためのサイドスラスタ、可変ピッチプロペラ、減揺装置(スタビライザー)なども搭載されている。
平成22年3月17日には「ふたみ」が除籍となっている。

海洋観測艦「すま」型   AGS "SUMA" Class
スペックデータ
基準排水量 1,180t
主要寸法 72x12.8x5.6x3.4m (長さ、幅、深さ、喫水)
船型 船首楼型
主機械 富士6L27.5XF ディーゼル2基 2軸推進
アジマススラスター1基
馬 力 3,000PS
速 力 15kt
特殊装置 各種海洋観測装置一式
定 員 65名
同型艦 AGS-5103「すま」
AGS5103「すま」
海洋観測艦「すま」について
 掃海艇を改造して使用していた小型海洋観測艇「1号」型の老朽化に伴い、代艦として建造された中型海洋観測艦。対潜水艦戦の実施に必要な海洋データの収集を主任務とするが、他にも一般海洋観測や海底地形観測にも使用できる。
 観測時の艦位保持のためバウスラスタを装備しており、また音響観測を行う際には音源艦として使用できる機能を持っている(当艦が発した音を他の海洋観測艦などが離れた位置でキャッチし海中での音の伝わり方などを調査する)。
平成27年6月26日に除籍されているが、当艦は現時点では長浦港において保管中である。
海洋観測艦「にちなん」型  AGS "NICHINAN" Class
スペックデータ
基準排水量 3,350t
主要寸法 111x17.0x9.0x4.5m (長さ、幅、深さ、喫水)
主機械 三菱S16Uディーゼル発電機×2基
三菱S8Uディーゼル発電機×1基
推進用電動機2基 2軸推進
サイドスラスター×3基
馬 力 最大8,660ps/定格5,800ps
速 力 最大20kt/定格18kt
特殊装置 海洋観測装置一式
音響観測装置一式
無人潜水装置(ROV)
定 員 80名
同型艦 AGS-5105「にちなん」
AGS5105「にちなん」
海洋観測艦「にちなん」について
 老朽化した大型海洋観測艦 「あかし」の代艦として建造された海洋観測艦。 「ふたみ」型の拡大改良版として計画され、観測機器の近代化や観測データ処理の自動化が図られている。そのため船体は「ふたみ」型よりも大型化している。
 「ふたみ」型と同様、観測用ケーブル敷設・収容のため艦首部にはガントリーが設けられており、後部甲板には観測機器投入・曳航に必要な各種クレーンが装備されている。艦橋構造物に指揮管制区画を集中したため艦橋構造物は大型となっている。
 観測時の低速航行を容易とするため、機関は通常航行用のディーゼルの他に推進用電動モーターを装備しており、ディーゼルで発電した電気により推進が可能となっている。これにより船体が発する騒音も減少できるため音響観測時などには非常に有効である。また、低速時安定のため減揺装置やスラスタなども装備されている。
 海洋観測艦「しょうなん」型  AGS "SYOUNAN" Class
スペックデータ
基準排水量 3,200t
主要寸法 103x16.4x9.0x4.5m (長さ、幅、深さ、喫水)
主機械 統合電気推進方式
ディーゼル発電機×3基
アジマススラスター×2基
バウスラスター×2基
馬 力 4,895ps
速 力 16kt
特殊装置 海洋観測装置一式
音響観測装置一式
定 員 80名
同型艦 AGS-5106「しょうなん」
AGS5105「にちなん」
海洋観測艦「しょうなん」について
本艦は、2000年代末の除籍が予定されていた「ふたみ」の代替艦として建造されました。設計面では、先行する「にちなん」の改型とされ、船型も同じ長船首楼型ではありますが、建造コストの低減が重視された結果として、あらゆる面で大幅な再検討が行われています。この結果、船体設計は商船構造とされていて、全体的に「にちなん」よりも小型化されています。
また艦首のバウ・シーブ、ケーブル・エンジンやケーブル庫、艦首側クレーンも廃止されたことで、かなりの構造・艤装の簡略化がなされています。バウ・シーブの廃止に伴って艦橋高さの要求が緩和され、上部構造物は「にちなん」よりも1層低い2層とされています。
一方、推進器は360度旋回可能なポッド式のアジマススラスターを搭載していますが、これは海上自衛隊の艦船の主推進器としては初の採用となります。これとバウスラスターをあわせて、優れた艦位保持能力を備えています。
音響測定艦「ひびき」型   AOS "HIBIKI" Class
スペックデータ
基準排水量 2,850t
主要寸法 67x29.9x15.3x7.5m (長さ、幅、深さ、喫水)
船 型 SWATH型双胴船
主機械 三菱S6U-MPTKディーゼル発電機 4基
交流電動機2基 2軸
馬 力 3,000PS
速 力 11kt
主要兵装 監視用曳航アレイ・ソナー(SURTASS)
特殊装置 バウスラスター一式
定 員 80名
同型艦 AOS-5201「ひびき」 AOS-5202「はりま」
AOS5201「ひびき」
音響観測艦「ひびき」型について
 技術の進歩に伴い潜水艦の静粛性が高まったため、広域哨戒での音響データ収集能力の向上を図るために平成元年度計画で建造された艦。
 聴音装置として米海軍が開発したSURTASS(サータス)を装備しており、長さ1.8キロメートルのケーブルにソナーアレイを結び、約3ノットの速度で曳航することで数百キロ先の潜水艦の動きを追う事ができると言われている。
 船体は海上自衛隊初の小水線面積双胴船式(SWATH)を採用しており非常に特徴のある形をしている。この方式ならば波浪による船体の動揺を抑え、復元性能の悪化を防ぎつつ甲板面積が広く取れるという利点がある。また低速時の操縦性を高めるため電気推進モーターを装備しており、ディーゼルとモーターの併用により航行をおこなう。広い後甲板はヘリコプターが着艦できるようになっており、長期に渡る航海時でも補給などが容易におこなえるようになっている。
砕氷艦「しらせ」型   AGB "SHIRASE" Class
スペックデータ
基準排水量 11,600t
主要寸法 134x28.0x14.5x9.2m (長さ、幅、深さ、喫水)
主機械 ディーゼル6基 推進電動機6基 3軸推進
馬 力 30,000PS
速 力 19kt
特殊装置 ヘリコプター(3機)搭載装置一式
各種洋上観測設備一式
定 員 170名
同型艦 AGB-5002「しらせ 
AGB5002「しらせ」
砕氷艦「しらせ」について
 長年南極観測支援に使用していた砕氷艦「ふじ」の代艦として昭和54年度予算で建造された艦。建造予算は文部省から出ているが、文部省には大型船の運用実績が無いため運用管理は海上自衛隊が任されている。
 「ふじ」同様に南極観測隊の支援任務に従事するために砕氷能力や貨物輸送能力を持っており、特に砕氷能力は厚さ約1.5mまでの氷を3ノットの速度で連続砕氷でき、「ふじ」よりも格段に高くなっている。これは船体が大型化したこともあるが、最新の砕氷理論によって設計された艦首部の形状にも負うところが大きい。
 南極観測隊支援のため観測隊員約60名分の居住区画と1,000トンの物資搭載スペースがあり、輸送ヘリ2機と偵察ヘリ1機を搭載する格納庫も備えている。また各種観測任務にも従事できるよう搭載観測機器も充実している。
南極までの航海の間に暴風圏を通ることから船体の動揺を押さえるためのアンチローリングタンクや砕氷時に船体を左右に傾けるためのヒーリングタンクが装備されている。なお推進方式はディーゼルエレクトリック(ディーゼルエンジンで発電し電気モーターによる推進)を使用している。これは砕氷時の低速航行に際して前進後進の迅速な加減速を得るためである。またスクリューは昭和46年に「ふじ」がスクリュー損傷事故をおこし行動不能となった事例を鑑み3軸に増やされている。
定係港は横須賀で、便宜上横須賀地方隊に所属となっているが当然のことながら通常の自衛艦とは運用スケジュールはかなり異なっている。
なお「しらせ」は、2008年4月に第49次南極観測隊が帰国した後、、退役しています。
砕氷艦「しらせ」型(2代)   AGB "SHIRASE" Class 
スペックデータ
基準排水量 12,500t
主要寸法 138x28.0x9.2m (長さ、幅、喫水)
主機械 統合電気推進方式
ディーゼルエンジン 4基
推進電動機 4基 推進器 2軸
馬 力 30,000PS
速 力 19.5kt
砕氷能力  厚さ1.5mの氷の中を3ノットで航行可能 
特殊装置 CH-101×2機、AS355級×1機
搭載装置一式
各種洋上観測設備一式
定 員 179名
隊 員  80名 
輸送物資  約1,100トン 
同型艦 AGB-5003「しらせ」 
AGB-5003「しらせ」
砕氷艦「しらせ」は、文部科学省国立極地研究所の南極地域観測隊の輸送・研究任務のために建造された南極観測船です。
建造費は文部科学省の予算から支出され、艦の運用は海上自衛隊により行われている。
初代「しらせ」後継艦として2009年に就役した。
初代「しらせ」の後継艦については当初20,000トンの排水量を構想していたが、予算問題の関係から初代「しらせ」の11,500トンより一回り大きな12,500トンとなった。排水量の増加により物資輸送量が約100トン増加し1,000トンから1,100トンになった。
先代と同様に複数名の医師と歯科医が同乗しており、居住性を改善しながら搭乗可能人数を増やすことも可能となった。
砕氷能力を向上させた独特の曲面形状の艦首や、砕氷補助設備として船首散水装置など改良された砕氷設備を備えている。南極観測船の搭載ヘリは「タロとジロの悲劇」以来出来るだけ高性能なものを配備しており、しらせでは大型機のCH-101を2機、小型機のAS355を1機の計3機搭載する。AS355は中日本航空に運用が委託されている。
推進方式は先代しらせ同様、ディーゼルエンジンによる電気推進が採用されたが、先代が単純なディーゼル・エレクトリック方式だったのに対し、本艦では統合電気推進となった。出力は先代と同じ30,000馬力だがパワーエレクトロニクス技術の進展により電動機はPWMインバータで交流電動機を駆動する方式となった。艤装を勤めた初代航海長は「統合電気推進と言える」とコメントしている。推進装置は2軸であり、舵も2枚設置されている。
貨物積降時間の短縮を可能としたコンテナ方式の荷役システム、砕氷力の向上と船体塗装剥離による海洋汚染の防止を目的として喫水付近の船体は耐摩耗性に優れるステンレスクラッド鋼や、新型ヒーリング(横揺れ防止)装置といった新機能が導入された。また、燃料タンクも漏出防止のため、二重船殻構造となった。更に艦内設備は南極の環境保全のために廃棄物処理用システムが充実されており、南極観測基地からの廃棄物持ち帰りもおこなわれている。
敷設艦「むろと」型   ARC "MUROTO" Class
スペックデータ
基準排水量 4,500t
主要寸法 133x17.4x8.6x5.7m (長さ、幅、深さ、喫水)
船型 長船首楼型
主機械 ディーゼル4基2軸
馬 力 8,800PS
速 力 18kt
特殊装置 埋設装置一式
定 員 135名
同型艦 ARC-482「むろと」
ARC482「むろと」
敷設艦「むろと」について
 海上自衛隊の初代敷設艦「つがる」の代替艦として建造された敷設艦。旧海軍の敷設艦のように機雷敷設を行うのではなく、主に水中機器や海中ケーブルなどの敷設揚収が任務となる。
 艦首部には敷設・揚収に使用する大型ガントリーを備えているが、長距離の敷設が容易に行えるように艦後部にも敷設装置が取り付けられている。敷設時の低速運用を容易とするため可変ピッチプロペラやサイドスラスタを装備している。また、長期任務にも耐えられるよう、乗員の居住環境も改善が図られている。
 平時には敷設作業の他に、観測任務にも従事できるよう各種観測機器も装備されている。
老朽化に伴い、平成24年4月4日に退役している。
敷設艦「むろと」(2代)型   ARC "MUROTO" Class 
スペックデータ
基準排水量 4,950t
主要寸法 131x19x11x5.7m (長さ、幅、深さ、喫水)
船型 長船首楼型
主機械 ディーゼルエンジン3基
電動機 2基
バウスラスター
アジマススラスター
馬 力 7,500PS
速 力 16kt
特殊装置 埋設装置一式
定 員 110名
同型艦 ARC-483「むろと」
ARC-483「むろと」
2代目「ARC-483 むろと」は先代「むろと」の老朽化に伴い後継艦として平成21年度に予算が計上され建造された。
先代と同じく基地や港湾、戦略海域等に水中聴音監視装置を敷設することを主任務としていると思われるが、詳細は開示されていない。ケーブル敷設装置や海洋調査に関わる各種水中機器を装備し、これらを円滑に運用するために船体にはバウスラスターとアジマススラスターが備えられている。
また、船価を抑えるために船体は可能な限り商船構造とし、敷設艦として最低限度の能力を発揮できる程度に収まっている。
この為、建造費は約284億円になっている。 
潜水艦救難艦「ちはや」型    ASR "CHIHAYA" Class
スペックデータ
基準排水量 5,450t
主要寸法 128x20.0x9.0x3.0m (長さ、幅、深さ、喫水)
主機械 ディーゼル2基2軸
馬 力 19,500PS
速 力 21kt
特殊装置 深海救難装置一式
定 員 125名
同型艦 ASR-403「ちはや」
ASR403「ちはや」
潜水艦救難艦「ちはや」について
 老朽化した潜水艦救難艦 「ふしみ」の代艦として平成8年度計画で建造された艦。これまでの潜水艦救難艦 「ちはや」(初代)や「ふしみ」では釣り鐘型の救助装置(レスキューチェンバー)しか搭載していなかったが、この「ちはや」からは潜水艦救難母艦 「ちよだ」と同様にDSRV(深海救難艇)を搭載し、救難能力を向上させている。
 DSRVの格納装置や医療施設の充実を図った結果、これまでの潜水艦救難艦に比べかなり船体が大型化している。救難装置としてはDSRV以外に深海潜水装置や大気圧潜水装置、探索用ソナーなどを装備しており医療施設も手術室やレントゲン装置、減圧設備などが備えられている。
潜水艦救難母艦「ちよだ」型   AS "CHIYODA" Class
スペックデータ
基準排水量 3,650t
主要寸法 113x17.6x8.5x4.6m (長さ、幅、深さ、喫水)
船型 船首楼型
主機械 ディーゼル2基2軸
馬 力 11,500PS
速 力 17kt
特殊装置 深海潜水装置一式
深海救難艇×1
定 員 120名
同型艦 AS-405「ちよだ」
AS405「ちよだ」
潜水艦救難母艦「ちよだ」について
 海上自衛隊の初代潜水艦救難艦である 「ちはや」(初代)の代艦として建造された艦。救難艦としてだけではなく、潜水隊の母艦機能も備えている。
 救難能力の向上のためDSRV(深海救難艇)を搭載しており、従来のレスキューチェンバー方式に比べ短時間でより深深度の救難活動が可能となっている(レスキューチェンバーでは一度に4人までしか救助できなかったがDSRVは12人まで収容が可能である)。また飽和潜水方式による深海潜水装置を装備しており長時間の潜水作業や潜水病治療が可能である。
 母艦機能としては潜水艦に対して燃料・食料・魚雷などの補給や潜水艦乗員の休養施設を備えている。後部甲板はヘリコプターが離発艦できるようになっており人員・物資の輸送が効率よく行えるようになっている。
試験艦「くりはま」型   ASE "KURIHAMA" Class
スペックデータ
基準排水量 950t
主要寸法 68x11.6x5.5x3.0m (長さ、幅、深さ、喫水)
船型 船首楼型
主機械 ディーゼル2基2軸
馬 力 2,600PS
速 力 15kt
特殊装置 魚雷発射機昇降装置一式
定 員 40名
同型艦 ASE-6101「くりはま」
ASE6101「くりはま」
試験艦「くりはま」について
 自衛隊で使用する兵器や各種装置を開発研究している防衛庁技術研究本部が、艦船に搭載する装備品の試験研究に使用するために建造した艦。従来この種の試験は自衛艦が業務協力として実施していたのだが、これでは部隊の訓練行動の妨げになるとして専用艦を建造したのである。
 試験する装備品を積み上げるために後甲板に昇降装置(クレーン)が搭載されており、超音波測定装置や各種試験計測装置なども搭載できるようになっている。
平成24年4月6日に退役している。
試験艦「あすか」型   ASE "ASUKA" Class
スペックデータ
基準排水量 4,250t
主要寸法 151x17.3x10.0x5.0m (長さ、幅、深さ、喫水)
船型 平甲板型
主機械 ガスタービン2基2軸
馬 力 43,000PS
速 力 27kt
装 備 Mk.41 mod.17 VLS×8セル(アスロック)
3連装短魚雷発射管×1基
定 員 70名
同型艦 ASE-6102「あすか
ASE6102「あすか」
試験艦「あすか」について
 試験艦「くりはま」に続いて建造された2代目の試験艦。 「くりはま」が小型であるため搭載する装備品の大型化、システム化に対応できなくなったので平成3年度計画により建造された。
 護衛艦に搭載するフェイズドアレイレーダーや新型ソナーを試験搭載出来るようになっており「くりはま」に比べてかなり大型化している。また後部甲板はヘリ甲板となっており、ヘリ1機を格納できる格納庫も備えている。艦橋の直前には短SAMの垂直発射機が搭載可能であり、艦橋上部に設置されるフェイズドアレイレーダーとの併用でミニイージスシステム艦としての機能を果たすことも可能である。
 船体には各種の試験装備品を搭載するスペースが設けられており、試験評価室や関係者の居住スペースなど試験環境も充実している。また船体内には大型のバラストタンクを装備しており上部構造物の重量増加による重心上昇を抑える工夫もなされている。
特務艇「はしだて」型   ASY "HASHIDATE" Class
スペックデータ
基準排水量 400t
主要寸法 62x9.4x4.6x2.0m (長さ、幅、深さ、喫水)
船型 平甲板型
主機械 ディーゼル2基2軸
馬 力 5,500PS
速 力 20kt
特殊装置 なし
定 員 29名
同型艦 ASY-91「はしだて」
ASY91「はしだて」
特務艇「はしだて」について
 特務艇「ひよどり」の後継として建造された艇で、「ひよどり」同様に賓客の洋上接遇などに使用される。
 これまで当任務に使用する艦艇は駆潜艇改造のものしか保有したことがない海上自衛隊だったが、当艦は初めて最初からこのために建造された特務艇である。20名程度を収容できる会議室や休憩室を持つほか、パーティなどを開催することができるプロムナードデッキには約130名程度の乗客が搭乗可能となっている。
 接遇の他に災害発生時の支援任務にも従事できるよう、船内に簡易ベッドを搭載して負傷者治療や避難民の収容も可能である。