えちぜん鉄道勝山永平寺線
えちぜん鉄道勝山永平寺線の概要
勝山駅
勝山駅
勝山永平寺線は、福井駅-勝山駅間27.8kmを結ぶ、えちぜん鉄道の鉄道路線です。
福井県で電源開発を行っていた京都電燈により、1914年に越前電気鉄道として新福井駅-市荒川駅(現在の越前竹原駅)間が開業したのが当路線の始まりです。 同年4月には、大野口駅まで開業し、福井-大野が鉄道で結ばれることになりました。
その後、配電統制令により解散することになった京都電燈の鉄軌道事業を1942年に京福電気鉄道が継承し、当路線は同社福井支社の越前本線となりました。
戦後になり、モータリゼーションの影響でご多分にもれず、不採算区間の合理化が行われるようになり、国鉄越美北線と競合する越前本線の勝山駅 - 京福大野駅間が1974年(昭和49年)8月13日に廃止されることになりました。
その後、残る区間は維持してきたものの、京福電気鉄道が1992年に越前本線の東古市駅(現在の永平寺口駅)以東と永平寺線の廃止を表明し、それを受けて福井県や地元自治体が行政支援を講じてきたが、2000年と2001年に列車衝突事故を起こし運行休止となり、2003年にえちぜん鉄道へ譲渡されることになりました。
その際、永平寺線は採算が見込めないことから、そのまま廃止され、残った越前本線が勝山永平寺線として再出発しました。
越前本線時代には特急、急行の優等列車の設定がありましたが、現在では朝に主要駅停車の快速列車が福井行きのみ運転されています。
各列車は基本的にはワンマン運転なのですが、昼間の列車には女性接客乗務員(アテンダント)が乗務し、乗車券の販売・回収や車内アナウンス(観光・接続案内)、お年寄りなどの乗車・下車のサポートを行っています。(^.^)
ただしドアの開閉や出発合図などはせず、列車運行に関しては運転士が担当しているので一般的な車掌とはちょっと違うのです。(いわゆる乗客(旅客)専務車掌)

えちぜん鉄道勝山永平寺線 路線データ
路線距離  福井 - 勝山間 27.8km
軌間  1,067mm
駅数  23駅(起終点駅含む)
複線区間  なし(全線単線)
電化区間  全線電化(直流600V)
閉塞方式  自動閉塞式
開業年月日  1914年(大正3年)2月11日
使用車両  MC2101形電車
 MC6101形電車
 MC6001形電車
 MC2201形電車
 MC1101形電車
 MC5001形電車
種別  快速列車(福井行きのみ)
 普通列車
勝山駅に停車するMC6101形電車
勝山駅に停車するMC6101形電車

えちぜん鉄道勝山永平寺線 駅一覧

番号 
駅名 駅間
キロ
営業
キロ


接続路線 ホーム 駅員
配置
列車
交換
所在地
E1 福井駅 - 0.0 JR北陸本線 福井鉄道福武線(福井駅前駅) 1面2線 福井市
E2 新福井駅 0.5 0.5     1面2線  
E3 福井口駅 1.0 1.5 えちぜん鉄道三国芦原線 3面5線
E4 越前開発駅 0.9 2.4     1面2線
E5 越前新保駅 1.0 3.4     1面2線
E6 追分口駅 1.0 4.4     1面2線  
E7 東藤島駅 0.9 5.3     1面1線  
E8 越前島橋駅 0.7 6.0     1面2線  
E9 観音町駅 1.3 7.3     1面1線 吉田郡
永平寺町
E10 松岡駅 1.1 8.4     2面2線
E11 志比堺駅 0.9 9.3       1面1線  
E12 永平寺口駅 1.6 10.9 京福電気鉄道永平寺線(2002年廃止) 2面3線
E13 下志比駅 1.0 11.9       1面1線  
E14 光明寺駅 1.2 12.7       1面1線  
E15 轟駅 1.5 14.2       2面2線  
E16 越前野中駅 1.5 15.7       1面1線  
E17 山王駅 1.5 17.2     2面2線
E18 越前竹原駅 2.1 19.3     1面2線  
E19 小舟渡駅 1.9 21.2       1面1線  
E20 保田駅 1.9 23.1       1面1線   勝山市
E21 発坂駅 1.4 24.5     2面2線  
E22 比島駅 1.9 26.4     1面1線  
E23 勝山駅 1.4 27.8   2面3線
 駅員配置 注 ◎:有人駅 ○:一部時間帯のみ駅員配置 無印:無人駅
 列車交換 注 ∥:複線 ∨∧◇:列車交換可能 |:列車交換不可
 快速 注 ○:快速停車 ※:普通列車の一部通過

京福電気鉄道越前本線 廃止区間 駅一覧(1974年8月13日廃止)
駅名 駅間
キロ
営業
キロ
勝山
起点
接続路線 ホーム 交換 駅員 単複 所在地
蓬生駅 0.9 28.7 0.9 1面1線 単線 勝山市
大袋駅 0.8 29.5 1.7 1面1線
嵭崎信号所 1.2 30.7 2.9 1面1線
下荒井六呂師口駅 1.5 32.2 4.4 -
新在家駅 1.4 33.6 5.8 1面1線 大野市
中津川駅 0.9 34.5 6.7 1面1線
大野口駅 1.6 36.1 8.3 1面1線
京福大野駅 0.3 36.4 8.6 2面3線
えちぜん鉄道勝山永平寺線 体験乗車レポート
えちぜん鉄道福井駅が始発駅です
えちぜん鉄道福井駅が始発駅です
今回の体験乗車レポートは勝山永平寺線の起点となる福井駅から終点の勝山駅まで乗車してみましょう。
福井9:56発勝山行きの普通列車に乗車します。
福井駅の駅舎はイマイチ安普請なのですが、要するに新幹線工事の関係で仮駅舎という状態なのでしょう。
電車が発車すると左側には北陸本線の高架線が続きます。ここへ新幹線が伸びてくるのはいつの日でしょうか。
9:57に新福井駅に到着します。福井行きの上り電車が反対ホームに停車しています。こちらの電車が発車して、さらに北陸本線と並行して走り、福井口駅1番ホームに到着します。この駅はえちぜん鉄道の駅では最大の規模です。3面5線ホームというのは地方私鉄の駅としては極めて大きいものです。ここには車両基地もあります。この駅では三国芦原線と分岐しますが、こちらは勝山永平寺線を走ります。10:00に電車は福井口駅を発車しました。このあたりから線路は東に向かい、北陸本線ともお別れです。電車は福井市街を走り続けていますが、やがて越前開発駅に10:02に到着します。実はここまでは複線だったのですが、ここからは単線となります。この駅は島式ホームなのですが、あまりにも狭いホームなのです。相対式ホームならまだ狭くても我慢できるのですが、島式ホームでこの狭さはどうしたものか。電車は、すぐに発車します。次の越前新保駅も島式ホームですが、ここは屋根もあるし、まだ広いホームですが、いずれにしても富山地方鉄道の広いホームを見慣れている筆者としては、狭いホームと感じます。しかも反対側のホームには福井行きの電車が停車しているのでなおさらです。
福井口駅で三国芦原線が分岐します
福井口駅で三国芦原線が分岐します
ここで列車交換して越前新保駅を10:05に発車した電車は、さらに東に向かいます。次の追分口駅も島式ホームです。このあたりの駅はすべて列車交換設備を持っていてしかも島式ホームが好みなのでしょうか。しかもここのホームも狭いのです。どうもえちぜん鉄道の駅のホームはみんな狭いようです。10:07に追分口駅を出発した電車は、次第に市街地から田園地帯へと入っていきます。次の東藤島駅は初めての単式ホームの駅です。しかし上屋も待合室もトイレもありますので、別におかしくありません。10:08に電車は発車します。このあたりは家はけっこうあるのですが、市街地という雰囲気ではありません。次の越前島橋駅は、島式ホームを持つ駅ですが、ここもホームは狭いのですね。すぐそばには北陸自動車道が走っていて、線路はその下をくぐります。10:10に当駅を発車した電車は、福井北インターを右に見ながら次の観音町駅に到着します。この駅は単式ホームですが、駅舎もあるし、整備されています。えちぜん鉄道の駅はみな整備されていて荒れているという印象はありません。富山地方鉄道も少しは見習って欲しいものです。観音町駅を10:12に出発した電車は、次の松岡駅に10:15に到着しました。この松岡駅は、勝山永平寺線では珍しい相対式ホームで、駅舎もしっかりしていて駅員もいる立派な駅です。松岡駅を出た電車は次第に山沿いに入っていきます。次の志比堺駅は、山の上にあり、ここから集落に出るには急な階段を降りないといけないのです。バリアフリーの対極にある駅ですが、やむを得なかったのか。10:17に駅を出た電車は、次の永平寺口駅に近づきますが・・・、ああ・・・ここであの悪夢の事故が発生したのか・・・。
越前開発駅の島式ホームですが・・・狭い
越前開発駅の島式ホームですが・・・狭い
2000年12月17日13時ごろのことです。当時の京福電気鉄道永平寺線の永平寺駅発東古市駅(これが現在の永平寺口駅)行き上り列車がブレーキ故障により終点の東古市駅に停車できず暴走して、越前本線の福井方面に分岐器を割り込んで進入し、越前本線の福井駅発勝山駅行き下り列車と正面衝突し、上り列車の運転士1名が死亡、両列車の乗客ら24名が重軽傷を負うという大事故が発生したのです。上り列車の運転士は、ブレーキ故障を察知して必死に列車を停車させようと最後まで操作を続けたが、列車は正面衝突して、殉職したのです・・・。合掌・・・。
電車は、永平寺口駅に到着しました。この駅は以前は永平寺線の分岐駅でもあったので駅構内は広く、ホームも2面3線ですが、前述の事故とさらにその後にも事故が発生したため京福電鉄が運行休止となり、えちぜん鉄道が鉄道事業を継承したものの永平寺線は廃止になっています。そのため当駅も単なる途中駅となっています。この駅で上り列車とすれ違い、10:20に電車は発車しました。
次の下志比駅は、単式ホームの小駅ですが上屋があります。このあたりは完全に郊外ですし、目の前に山が見えるというロケーションです。当駅を10:22に出発した電車は、さらに山中へ入っていきます。
次の光明寺駅は、山中の集落の端にあるという感じの単式ホームの小駅です。しかし待合室がホーム上にあり荒れているという様子はありません。しかもなんだか派手なお嬢さんがいたりします。電車は、10:24に発車します。
永平寺口駅はかつて分岐駅でした
永平寺口駅はかつて分岐駅でした
次の轟駅は難読駅と言えるでしょう。これは「どめき」と呼びます。この駅は相対式ホームですが、無人駅です。しかしポイント上にはスノーシェルターがあり、この一帯が積雪地帯であることを示しています。轟駅を10:26に出発した電車は、次の越前野中駅へと到着します。この駅は田園地帯の中にぽつんとある感じの単式ホームの小駅ですが上屋と待合室とトイレが設置されています。当駅を10:29に出発した電車は、さらに永平寺町の田園地帯を進みます。次の山王駅は、相対式ホームを持つ駅ですが駅舎はしっかりしています。10:31に当駅を出発した電車は、県道255号線と並走しながら、次の越前竹原駅に到着します。この駅は島式ホームを持っていますが、反対側のホームには上り電車がいました。つまりここですれ違いを行うわけです。どうやらこの駅が列車交換の常連のようですね。しかしこの駅には駅員はいません。10:34に当駅を出発した電車は、道路と山に挟まれるように走り、九頭竜川までそばを流れているところで踏切を渡ったところで小舟渡駅に到着します。この小舟渡駅は実に狭苦しいところに駅があるので当然ながら単式ホームの小駅です。10:37に当駅を出発した電車は、道路と並行して走りながら次の保田駅に到着します。近くに人家もあまりないような場所にこの駅はあります。10:40に電車は出発しました。駅の前後で線路は大きくカーブしていて、線路は東に進みます。
次の発坂駅は相対式ホームで列車交換が可能です。勝山側のポイントにはスノーシェルターが設置されています。実は、この駅の近くでも過去に事故が発生しています。
発坂駅の相対式ホーム
発坂駅の相対式ホーム
2001年(平成13年)6月24日18時頃のことです。京福電鉄越前本線の保田駅-発坂駅間で、勝山駅発福井駅ゆきの上り普通列車(モハ5001形5002・1両編成)と福井駅発勝山駅ゆきの下り急行列車(モハ2201形2201・1両編成)が正面衝突して乗員乗客24名が重軽傷を負っています。事故の原因は、発坂駅で上り列車が停車しないといけないのに、上り普通列車の運転士が信号を確認せずに発車したためという人為ミスでした。また、ATSの未設置も問題となり、国交省は翌日からの列車運行の休止を命じる事態となったのです。しかし死亡事故とはならなかったのは不幸中の幸いでしたが。
発坂駅を10:43に出発した電車は、山際を道路と並行して走り、次の比島駅に停車・・・しないで通過してしまいました。この比島駅は当然ながら無人駅ですし、あたりには人家も少なく利用者も少ないので日中の列車の半分は通過してしまうようです。でもローカル線の駅として良く雑誌にも登場する有名な駅なのですが。次の勝山駅は、言うまでもなく勝山永平寺線の終点駅で勝山市の中心駅です。ただし、勝山市の中心街からはやや遠い位置にあり、九頭竜川を渡る勝山橋を渡らないと市街地に入れません。本来ならば市街地に駅があった方が良いに決まっていますが、実は以前はこの駅からさらに大野市へ線路が延びていてこの勝山駅は途中駅であったので、そうもいかなかったのでしょう。それに当時は橋梁を建設するのが技術的にも難しく九頭竜川を渡るような橋梁は建設が難しかったのもあるでしょう。
勝山駅に停車する6104電車
勝山駅に停車する6104電車
勝山駅は、2面3線ホームを持ち、駅舎も1914年(大正3年)開業以来のもので立派な造りになっていて、2004年(平成16年)2月17日に国登録有形文化財に登録されています。駅前にはバスターミナルとタクシー乗り場もあり、勝山市の公共交通機関の中心となっていることが伺えます。ここから福井県立恐竜博物館へのコミュニティバスが出ています。
これで勝山永平寺線の旅は終わりますが、いくつか気づいた事もあります。
まずえちぜん鉄道の駅の中でも福井市に近い駅で島式ホームがたいへん狭いことが気になりました。これでは列車交換の際には危険が感じられます。まあ、これだけホームが狭いということは利用客も少ないということにもなるのでしょうが、富山県の富山地方鉄道の島式ホームは極めて広く、待合室が設置されているくらいなので、こういうホームには慣れていないという事もあるのでしょうが。福井鉄道福武線の軌道線部分の駅にも同様に狭いホームがありますが、鉄道線のホームにはこのような傾向が見られないのです。石川県の北陸鉄道にもこのような狭いホームは見られないので、えちぜん鉄道に特有の現象とも思われます。
もちろん島式ホームを拡げるのは難しいので今更どうしようもないとは言えます。
またえちぜん鉄道の特徴としてもう一つ挙げられるのはアテンダントの存在です。アテンダントは、乗車券の販売・回収や観光・接続案内の車内アナウンス、高齢者などの乗降時のサポートを行う女性接客乗務員ですが、ドアの開閉は運転士が行っているようです。しかし最近はワンマンカーが一般的となっているのにアテンダントを配置している点は、他の地方私鉄も見習って欲しい点です。また、ホームの狭さにはケチをつけましたが駅の管理は行き届いていて荒れている駅はなく、駅員がいる駅もけっこうあるのも、どこぞの地方私鉄が見習って欲しいところです。
勝山永平寺線は積雪地帯を走ることもあり、バス代行が困難であることは鉄道休止時の経験でも判明していて、この路線の持つ意味は大きいのです。今後の活躍に期待します。
勝山駅に停車する6104電車 越前新保駅の島式ホーム
追分口駅に停車する2204電車 越前新保駅の島式ホーム
松岡駅駅舎 永平寺口駅駅舎
松岡駅駅舎 永平寺口駅駅舎
轟駅にあるスノーシェルター 轟駅に停車する6104電車
轟駅にあるスノーシェルター 轟駅に停車する6108電車
比島駅を発車する6104電車 終点の勝山駅駅舎
比島駅を発車する6104電車 終点の勝山駅駅舎
えちぜん鉄道勝山永平寺線マップ
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