えちぜん鉄道
えちぜん鉄道の概要
えちぜん鉄道福井駅
えちぜん鉄道福井駅
えちぜん鉄道株式会社は、福井県福井市から勝山市、坂井市を結ぶ2路線(勝山永平寺線三国芦原線)を運営する坂井市、福井市、勝山市、永平寺町、あわら市の5自治体が出資する第三セクター方式の鉄道会社です。本社は福井県福井市にあります。以前は、この路線は、京都市にある京福電気鉄道が運営していましたが、経営不振と二度に渡る列車事故により、経営継続が困難となり、第三セクターによる運営継続のために設立されました。
京福電気鉄道は、1950年代には既に次の4路線、合計93.8kmの鉄道線を保有していました。

 路線名  区間 総延長
 越前本線  福井-京福大野  36.4km
 三国芦原線  福井口-三国港  25.2km
 丸岡線  本丸岡-西長田  7.6km
 永平寺線  金津-永平寺  24.6km
 合計  93.8km

この4路線は、いずれも全線単線ですが、600V直流電化されていて、すべての路線が接続されていました。ところがモータリーゼーションの影響と過疎化から、まず丸岡線が1968年7月10日に全線廃止されています。
さらに1969年9月18日には永平寺線のうち、金津-東古市間18.4kmが廃止されています。
1974年8月13日には越前本線のうち、勝山-京福大野間8.6kmが廃止されています。これは、越前花堂-九頭竜湖を走る越美北線が完成したために、この路線と競合する区間から撤退したともいえます。
えちぜん鉄道永平寺口駅
えちぜん鉄道永平寺口駅
1992年に京福電気鉄道が経営不振のため、越前本線(現在の勝山永平寺線)の東古市(現在の永平寺口) - 勝山間と永平寺線の廃止・バス転換を表明し、これに対し1997年には福井県と沿線市町村が越前本線・永平寺線存続のために京福越前線活性化協議会を設立しました。
ところが、2000年12月17日越前本線志比堺 - 東古市間で(運転士1名死亡、乗客ら24名重軽傷)、2001年6月24日越前本線保田 - 発坂間で(乗員乗客24名重軽傷)と、半年間に二度に渡って電車同士の列車衝突事故を起こしています。
2000年12月17日の事故はブレーキロッド破断による暴走により列車同士が正面衝突したという事故で必ずしも京福電鉄のみの責任とはいえない点もありました。
しかし2001年6月24日の事故は運転士の信号の見落としとATSの不設置が事故原因となり、2度の重大事故を引き起こしたことで京福電鉄福井鉄道部の命取りとなったわけです。
事故の翌日、2001年6月25日には国土交通省と中部運輸局福井運輸支局は、全線の列車運行停止とバス代行を命令しています。さらに2001年7月には「安全確保に関する事業改善命令」を出しています。
しかし既に京福電気鉄道には安全対策を実施するだけの経営的余力はなく、運営継続を断念し、2001年10月に廃止届を国土交通省に提出しました。
それを受けて福井県は越前本線・三国芦原線を地域の足として第三セクター方式で存続させることを決め、2002年えちぜん鉄道を設立し、2003年2月1日に京福電気鉄道から越前本線・三国芦原線の鉄道施設の譲渡を受け、越前本線は勝山永平寺線と改称しています。なお、永平寺線永平寺口-永平寺間6.2kmは収支が見込めないことから同日付で廃止されています。
このように越前本線と三国芦原線の存続が決まったのは、この地域が積雪地帯であり、特に冬季にはバス運行が極めて困難なばかりでなく道路渋滞により一般車の通行も困難になるなどの事情があったと言われています。
同時期に福井鉄道福武線ではまったく問題が発生していなかったために、バス路線の脆弱性が浮き彫りになったのが鉄道存続の決定打であったと言えます。京福電鉄もバス代行に関してはあちこちからバスをかき集めて精一杯の対応をしていたのですから、やはり鉄道路線の優位性を図らずも証明したということになりましょう。
2003年7月19日には事故以来運行休止していた勝山永平寺線の福井 - 永平寺口間、三国芦原線の福井口 - 西長田間で特別列車を運行し、翌20日から正式に営業を再開しました。
2003年8月10日には三国芦原線、2003年10月19日には永平寺口-勝山間も営業を正式に再開しました。
このように数奇な運命をたどったこの路線もえちぜん鉄道として甦り、現在も活躍しています。
平成28年3月27日からは、えちぜん鉄道三国芦原線と福井鉄道福武線で越前武生-田原町-鷲塚針原間で相互乗り入れを開始しています。

えちぜん鉄道 現行路線一覧
種別 路線名 区間 総延長 軌間 単複 架線電圧 閉塞方式
鉄道 勝山永平寺線 福井 - 勝山 27.8km 1,067mm 一部複線 600V直流 自動閉塞式
三国芦原線 福井口 - 三国港 25.2km 1,067mm 単線 600V直流 自動閉塞式
 えちぜん鉄道の時刻表はこちら  運賃表はこちら

旧京福電気鉄道 廃止路線一覧
種別 路線名 区間 総延長 軌間 単複 架線電圧 廃止日
鉄道 越前本線 勝山-京福大野 8.6km 1,067mm 単線 600V直流 1974年8月13日
丸岡線 本丸岡-西長田 7.6km 1,067mm 単線 600V直流 1968年7月10日
永平寺線 金津-東古市 18.4km 1,067mm 単線 600V直流 1969年9月18日
東古市-永平寺 6.2km 1,067mm 単線 600V直流 2002年10月21日
三国芦原線 三国-東尋坊口 1.6km 1,067mm 単線 600V直流 1944年1月11日
えちぜん鉄道 現役車両
MC5001形電車 MC6100形電車(6111)
MC5001形電車 MC6100形電車(6111)
MC6100形電車(6103) MC6100形電車(6112)
MC6100形電車(6103) MC6100形電車(6112)
MC2201形電車(2204) MC6100形電車(6112)
MC2201形電車(2204) MC6100形電車(6108)
えちぜん鉄道で2009年時点で使用されている車両は、MC6101形電車、MC6001形電車、MC5001形電車、MC2101形電車、MC2201形電車などがあります。
このうちMC6101形電車は、愛知環状鉄道100・300形を元に改造された車両です。
現在のえちぜん鉄道の主力となって12両を保有しています。
MC5001形電車は、京福電気鉄道福井支社が運営していた時期の1999年にモハ5001形電車として製造された通勤形電車です。現在では5001の1両のみを保有しています。
MC6001形電車は、愛知環状鉄道100形を改造した車両で、2両編成で運用しています。
MC2101形電車は、南海1201形電車を譲り受けした車両を車体老朽化のため、1982年から阪神5231形の車体を利用して更新して運用しています。現在8両を保有しています。
MC2201形は、元は阪神3301形で、1986年に譲り受けています。入線時の改造で、台車を国鉄101系の廃車発生品に交換、さらに床下機器の配置変更で冷房電源用のMGスペースを捻出し、京福電鉄では最初の冷房車となっています。
ところが2201は、あの2001年の正面衝突事故で廃車となり、2202+2203は主制御器の老朽化で2005年5月3日には運行終了となり解体廃車となっています。そのため現在は2204のみの1両を保有しています。
えちぜん鉄道マップ
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